人びとの活動に根付くソフトに連動した、ハードを創る。
ブロックで遊んだり、工作に夢中になったり、一言で言うと、インドア指向の子供でした。小学校6年生の時、引きこもりがちなことを心配した両親に連れられてサッカークラブに入ったのですが最初はツラかったですね。でも、思い起こすとその時のきっかけが、“フットワークの軽い自分”を作ってくれました。
大学と大学院で建築を学ぶ一方、バックパックひとつで国内外の建築を探訪。美術館や建築家の講演にも足繫く通いました。アート志向が強まったところで社会に出たのですが、ギャップがすごかったですね。建築家の想いやストーリーではなく、建築基準法などの法規や収益効率の側面から街や建物ができている、そのことをまざまざと実感しました。加えて、ハード(建築)とソフト(内装)が分断されがちなところも気になりました。そこにもっと繋がりがあると、人びとの暮らしや空間に身を置いた時の高揚感も別次元になるのでは…そう捉えてこの学校で空間デザインを学ぶことにしました。
通ってよかったと感じるのは、ブランディングや経済合理性など“社会や人が求めるもの”を創ろうという意識が芽生えたことです。以前はどこか考えの視野が狭かったかもしれませんが、授業を受けて新たな世界観が一気に拓けました。ちなみに先生が時として挟み込む雑談も好きでしたね。だから最近も受講して、雑談を通じて新たなデザインの傾向など発見がいくつもありました。デザインの現場に出て久しいけれど、定期的に通いたいと思わせてくれる学校です。
現在は『エイケー』で商業施設や住空間など、様々な空間デザインを担当しています。「人がどう動くか」「人がどう感じるか」といった自分の観点や興味を大切にしつつ、入学前から考えていた「人びとの活動に根付くソフトからハードをつくる」ことに挑戦したいと思っています。“内側”と“外側”が連動しているような空間を創るクリエイティブディレクターになることが目標。面白いチームを率いて、新しい生活やカルチャーを生み出す場を創っていきたいと思っています。