お客様の不安や焦りを取り除きたい、その気持ちが原点です。
この学校に通う前は、北海道の空港でグランドスタッフとして働いていました。常に考えていたのは、どうしたらお客様をスムーズにご案内できるのかということ。しかし、空港のキャパシティに対して旅客数が多かったため、お客様がいつも迷われていた印象があります。自分自身、交通機関を利用する時いつも、「目的地に無事に着くのだろうか...」という不安や焦りを抱きがちだからこそ、お客様をサポートしてあげたいという一心でしたが、ある時、「デザインで解決できることもある」と気づきました。分かりやすい導線だったり、感覚的にすぐ理解できる案内板だったり...。とはいえ、具体的に何から手をつけていいのか分からない。そこで学校を見 学し、すぐに上京することを決めました。ダメだったらすぐに矛先を変えればいいや、ぐらいに考えてましたね。
デザインの知識ゼロからのスタートでしたが、プレックスプログラムに積極的に参加して、第一線で活躍するクリエイターの話を積極的に聞きました。デザインとはどういうものなのか、社会にどう活かしていけるのかを聞けたことが面白かったです。空間デザイナーによるワークショップでは、私の作品を褒めていただきました。その気になりましたね(笑)。適性がないわけではなさそうだ、このままやっていこう、と決意したことを覚えています。また、「デザインは、右脳で感じたことを、左脳でトランスレーションすること」という講師の言葉は、仕事をしながら思い返すことがあります。
現在は、注文住宅の設計会社を経営しています。人の不安や焦りを取り除きたいという気持ちは、空港で働いていた時と同じです。仕事をする上で大事にしているのは、お客様の目線に立ち、目指したい空間を提案すること。そのために、お客様の気持ちや暮らし方に私も没頭します。お客様が「好き」を実現させたい方なのか、それとも「苦手」を排除したい方なのかを見極めることも大切。関わる人びとが豊かに、幸せに暮らせることが、ひいては社会の豊かさとして広がっていくのかなと思います。