PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「デザインの攻略本」

株式会社NASU代表 / グラフィックデザイナー・アートディレクター

前田 高志 氏Takashi Maeda

PROFILE
1977年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業後、任天堂株式会社へ入社。約15年間、広告販促用のグラフィックデザインに携わった後、2016年に独立。株式会社NASUを設立。「デザインで成す」を掲げ、企業のデザイン経営に注力。クリエイターコミュニティ「マエデ(前田デザイン室)」主宰。著者に『勝てるデザイン』(幻冬舎、2021年)、『鬼フィードバック デザインのチカラは“ダメ出し”で育つ』(MdN、2021年)、NASUとして『デザイナーが最初の3年間で身につけるチカラ』(ソシム、2024年)がある。「遊び心」のあるデザインが強み。

第1部:講義「デザインの攻略本」

講義1

本日のプレックスプログラムは、株式会社NASU代表でグラフィックデザイナー・アートディレクターの前田高志さんをお迎えします。今回は『デザインの攻略本』と題して前田さんの仕事術を共有していただきます。かつて任天堂でキャリアを積んだことやその時の上司がコピーライターだったことから、「自分はデザインの中でも絵というよりは言葉寄りのデザイナーなのかなと思う」と前田さんはおっしゃいます。

講義2

SNSでの発信を活発に行っている前田さん。周りからは、「デザインは苦しくて孤独というイメージがあったが、前田さんからは明るく楽しいデザインが感じられる」と言われることも多いそう。前田さん自身は、SNSは自分の人生をより良くするために楽しく使っているという感覚だといいます。「自分のことを知ってもらい魅力を伝えて仕事を受けるという構図は本質的にネットも現実も同じです。」

講義3

次のトピックはパラダイムシフトについて。SNSやAIなどの登場により、デザインを取り巻く環境は目まぐるしく変わりつつあります。前田さんは、人がデザインを依頼する理由が『仕事より人』『芸術より経営』『説得力より納得力』に変化してきているといいます。また、またデザインワークも『大きいメディアからバズ』『長時間から短時間』『ひとつからたくさん』『納品主義からスピード主義』に変化しているため、その変化を意識することが大切と説きます。

講義4

以前よりもデザインが数字や結果を求められ多様化してきている中、自分の中に答えをもつ姿勢『思考の背骨』の重要性を学生に伝える前田さん。「物事をフラットにとらえることで、情報に振り回されることなく、自分を柔軟に変えられるようにもなります。現代は両極端のものを両方求められる時代でもあり、論理と直感、左脳と右脳、経営と芸術など、両極を幾度チューニングすることが必要な時にもこの姿勢は活きてきます。」

講義5

話題は商業デザイン以外のデザインワークに移ります。「仕事ではできないデザインに取り組み、それを自身の発信にも活かしています。テクノロジーの発達でデザインスキルのハードルが下がる中で、クリエイティブ活動のエンタメ化を見据えた新しいコミュニケーションを創り出しています。」前田さんは自身の目標として『作れる』『語れる』『フラットになれる』の3点を挙げ、これらはデザイナーとして生き抜くキーワードになるのではと学生に伝えていました。

第2部:ワークショップ「マエデ(前田デザイン室)の新プロジェクトを企画する」

ワークショップ1

後半はワークショップに移ります。今回のお題は『マエデ(前田デザイン室)の新プロジェクトを企画する』です。マエデの掲げる「仕事では味わえないデザイン」「永遠の童心」「デザインをお茶の間に」を念頭に、マエデらしい企画を学生たちが考えていきます。

ワークショップ2

ここからは学生のアイデアの一部をご紹介します。「言いづらいことを芸人さんのネタのリズムに乗せて伝えてくれるマシーン」「パスケース型現代版幸せの手紙」「メイクが面倒な方のための能面型のお面(NO MENDO)」「けんかを短時間で収めるスイッチ」「感情を切り替えるエモーションリモコン」「恥ずかしい英語ばっかりデザインされてるTシャツ」などが挙がりました。

総評

最後に前田さんから総評をいただきました。「今日色々なアイデアを出してもらいましたけど、このような抽象度の高いことを考えることが仕事では武器になります。普段からこのような訓練を続けていくことで仕事も楽しくなるし、デザイナーという仕事で幸せになるということに繋がります。ぜひ楽しんでデザインをしていってもらえたらなと思います。」前田さん本日は本当にありがとうございました!