テーマ:「地域のデザイン 東京のデザイン~Part 2」
株式会社TAMBO代表/アートディレクター
落合 剛之 氏Takeyuki Ochiai
- PROFILE
- 株式会社TAMBO代表。グラフィックデザイン会社、大手の広告ブランディングに関わる会社を経て、デザインを通して様々な課題を解決していきたいという想いから株式会社TAMBOを設立。広告グラフィックはもちろん、企業・商品のブランディング、自治体とのデザインワーク、書籍の装丁、商品開発、ミュージシャンのアートワーク、空間づくり、社員教育など幅広いデザイン業務に携わる。
第1部:講義「地域のデザイン 東京のデザイン」
講義1
今回のプレックスプログラムは、株式会社TAMBO代表の落合剛之さんにお越しいただきました。地元新潟の専門学校でグラフィックデザインを学んだ落合さんは、東京で広告・ブランディング中心のお仕事を経験された後、株式会社TAMBOを設立。社名のTAMBOには、地元新潟の田んぼの風景のような、一見何もない所からアイデアを生み出し育てていくという意味合いが込められているそうです。
講義2
まずは、落合さんがこれまで携わったお仕事をご紹介していただきました。カラオケ「BIG ECHO」を展開している第一興商のブランディング、電動キックボードシェアのLOOPの広告、海外家電メーカーのWebサイト製作、アイドルグループ「WEST.」のアルバムやLIVEグッズのアートディレクションなど、東京を拠点にご活躍されている一方で、最近では秋田県や山口県・新潟県など地方でのお仕事も増えてきているといいます。
講義3
地域デザインの例としてお話しいただいたのは、長野県にある社会福祉法人「花工房福祉会」の事例です。「農業と福祉の連携を通して、新しい商品を開発し、売り上げを上げて利用者の賃金を上げたい」という依頼があり、実際に現場まで話を聞きに行ったという落合さん。なぜ商品開発をするのか?花工房福祉会は社会にとってどんな存在であるべきか?という根本的な所をスタッフの皆さんと一緒に考えるため、ワークショップを開催することにしたそうです。
講義4
ワークショップは月に一度開催され、回数を重ねるごとにスタッフの皆さんの熱量はどんどん高まっていきました。その結果、廃棄量の多い大豆に着目した地球にもカラダにも優しい「ダイズからできた21時チップス」が完成。のちに「フード・アクション・ニッポンアワード2020」に入賞し、パッケージデザインの国際コンペ「Pentawards2021」Silverも受賞しました。東京にいる時のような提案型ではなく、スタッフの方と連携しながら立ち上げたローカルブランドが受賞できたことに、落合さんは感動したといいます。
第2部:ワークショップ「ローカル愛をもっと自由に表現しよう」
ワークショップ1
落合さんは「ローカル愛をもっと自由に表現したい」という想いから、新潟の産業や文化、自然の魅力を発信していく「Ultra Niigata」を発足しています。ロゴマークは漢字の「新」が爆発したようなデザインで、新しい発見や尖った新潟を表現。後半のワークショップでは、「燕三条地域の認知をどのようにして向上させていくか」をテーマに、各グループでリサーチしながらアイデアを考えます。
ワークショップ2
学生たちが考えたアイデアを紹介します。最初のグループは、燕三条に本社を置くキャンプ用品総合メーカー企業を巻き込んだアイデアを発表。キャンプ場で燕三条地域の食器やキャンプ用品などをレンタルできるサービスをつくり、アクティビティを通して燕三条の認知度を向上させるプロモーションを考案しました。続いてのグループは、燕三条がカトラリーの国内生産シェアを90%を占める点について着目。ロゴを制作し、レストランや施設などにステッカーを貼ってもらうことで、目に触れる機会を増やせるのではないかと考えました。
ワークショップ3
最後のグループは、燕三条を若者に認知してもらうため、「~隙間時間で頂点に~燕三条道場」というスマホゲームを考えました。【職人になって包丁をきれいに研ぐゲーム】や、【背脂らーめん早食いゲーム】など、燕三条のものづくりや名物を盛り込んだコンテンツを提案。さらに、地域住民の方も盛り上がることができる地域対決のバトルゲームというアイデアも飛び出しました。
総評
最後に総評をいただきました。「どのグループも企画にリアリティがあって良いと思いました。東京と比較すると予算が少ないだけでなく、デザインでの成功体験が少ないのがローカルのデザイン。結果を出すことの優先度が東京よりも高く、デザイン以外にもさまざまな領域に携われることが醍醐味だと思います。『デザインする前にしっかり調べて、頭の中でデザインしてから手を動かす』をぜひ、実践してみてください。」落合さん、楽しい講義をありがとうございました。