テーマ:「一般大学からデザイナーへ。good design companyでの今。」
good design companyクリエイティブディレクター
佐々木 海 氏Kai Sasaki
- PROFILE
- 1991年生まれ、宮城県出身。2014年琉球大学卒業。大学では法律学を専攻。同年、東京デザインプレックス研究所にてデザインを学ぶ(デジタルコミュニケーション総合コース及びソーシャルデザインラボ(現フューチャーデザインラボ)に所属)。2016年4月good design company 入社(現在9年目)。主な担当に、パナソニック株式会社、三井不動産、商船三井「MITSUI OCEAN CRUISES」、にしき食品「NISHIKIYA KITCHEN」、ロック・フィールド、漆琳堂ほか。
第1部:講義「法学部からデザイナーを目指す」
講義1
今回のプレックスプログラムは、東京デザインプレックス研究所修了生の佐々木海さんにお越しいただきました。かつてはドラマの影響を受け、法律学を学べる一般大学に進学した佐々木さんでしたが、2011年の東日本大震災によって、将来について考え直したといいます。漠然としていた就活時、水野学さんの本やドキュメンタリー番組を見たことをきっかけに、デザインの道に進むことを決意。当校での学習を経て、現在は水野さん率いるgood design companyでクリエイティブディレクターとして活躍されています。
講義2
good design companyのブランディングデザインやワークフローについて事例を交えつつお話いただきました。「企業・ブランドのもつ魅力(らしさ)を見つけ、世界観を作り上げていくことです。その過程の中で、徹底的な視察・リサーチは欠かせません。市場の分析、現地視察、企業の社史や土地の風土まで様々な視点でリサーチをします。ブランドの魅力だけでなく、問題の発見や、ターゲットの再設定、コンセプトやゴールの設計にもつながる大切な工程です。」
講義3
ネットだけでなく、本や実物からインプットし、方向性が見えてきた段階で、アイデア出しやカンプ制作を行います。「手で動かすと、柔軟な発想がうまれる」と話す佐々木さん。ロゴマークであれば、ラフでも何百案という数を描いていきます。その試行錯誤の過程で、カンプ検証も数多くの検証を行いながら、良いと思うロゴマークが完成します。企業のCIやパッケージをはじめ、様々な事例とともに、紹介をしていただきました。
講義4
完成したデザインが世の中にアウトプットされたあと、大事になってくるのがクオリティコントロール。レトルト食品メーカーにしき食品のブランド「NISHIKIYA KITCHEN」のリブランディングでは、パッケージデザインや販促、店舗デザイン、映像制作、出店戦略など、幅広く携わっています。インドまで足を運びカレーを研究している姿、素材や調理法にこだわり、様々なレシピの美味しいレトルトを届けていることから、『世界の料理を「カンタン」に。』をコンセプトとして提案。リリース後も、デザイン以外の売り場などの現場確認やフィードバック、時代の変化に合わせたアップデートも提案しています。
第2部:ワークショップ「佐々木さんに質問コーナー」
質疑応答1
後半は、質問コーナーの時間が設けられました。当校を卒業し、現在に至るまで、佐々木さんの経験を通じてお答えいただきます。Q. 美大系出身ではなく、一般大学卒業からデザインを学び就活する上で、工夫したことはありますか?A.ポートフォリオや履歴書、エントリーシートは、先生方に何度も相談し、添削してもらいました。相談することで自分の得意なこと、強みを客観視することができます。履歴書のデザイン、封筒やラベルなど送付方法にもこだわりました。
質疑応答2
Q.デザインやブランディングに関して、学校で学んだことは?A.スキル面はもちろん、クラスメートとの関係性から学んだり、刺激を受けたり、頑張ろうと思うことができました。先生と話すことで気づきが得られることも大きかったです。Q. デザイナーの将来性(AIとの共存)についてA. これからデザイナーに求められるのは、AIが生成するアイデア・デザインに対して選ぶ能力。経験やものごとの知識が蓄積することで、段々と身についていくと思います。
質疑応答3
Q.入社後のギャップは?A.現場に入ると、スピード感、精度の違いに驚きました。努力が足りない部分を反省し、一個一個丁寧に積み上げて、くらいついていきました。Q.仕事で1番楽しいと感じる瞬間は?A.クライアントさんに喜んでもらえるとき。楽しい瞬間があることで、大変な時も乗り越えられています。Q.仕事のやりがい、モチベーションは?A. デザイナーは、さまざまな業種に関われることが魅力。飽きっぽい性格でしたが、9年間も楽しみながら仕事を続けられています。
質疑応答4
最後に、受講生たちへ向けてメッセージをいただきました。「大学では法律学を専攻し、周りが公務員や銀行員、弁護士を目指すなか、デザインをやりたい自分。当時は、驚きをもって見られていましたが、時間が経って、自分がデザインを選んだことは間違いなかったと実感しています。僕はTDPに入ってよかったです。これから大変なこともあると思いますが、僕も頑張っている途中です。一緒に頑張っていきましょう!」佐々木さん、本日はありがとうございました。