PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「ビジネスとは社会の違和感の解決」

ARIGATO COMPANY代表/福ベーグル代表/TOMORROW COMPANY代表

福島 直 氏Nao Fukushima

PROFILE
群馬県高崎市在住。2007年に保育園や幼稚園の建屋、遊具、家具の設計製作を手掛ける「ARIGATO COMPANY(アリガトウ・カンパニー)」を起業。 その後、2011年に福ベーグルを創業。創業後、数々のメディア掲載や賞を受賞。群馬県内のビジネスコンテストで大賞を受賞するなど、サービスデザイン・ソーシャルデザイン・地域創生と中心とした起業家として活躍中。 https://fukubagel.jp/ https://arigatocompany.co.jp/ https://arigatocompany2011.wixsite.com/tomorrow https://www.instagram.com/nao.fukushima/

第1部:講義「ビジネスとは社会の違和感の解決」

講義1

今回は、初めてのご登壇となる福島直さんにお越しいただきました。福島さんは、幼児施設の建屋・遊具:家具の設計製作を手掛ける『ARIGATO COMPANY』をはじめ、ベーグルの専門店の『福ベーグル』、障がい者の就労支援を行う『TOMORROW COMPANY』を立ち上げるなど、多彩に活躍されています。そんな福島さんのビジネスの共通点は、社会に存在する困りごとや問題をデザインの力を借りて解決するソーシャルデザインです。

講義2

大学を中退しやりたいことを模索していた福島さんは、20歳で建築の道に進むことを決め、京都の建築の専門学校で勉強を始めます。子育てをしながら、日中は専門学校、夜はアルバイトと、激動の日々を過ごしながらも製図の授業を受けたとき、人生で初めて「これがやりたかったんだ!」と感動したといいます。卒業後は家具屋で家具づくりを覚え、二級建築士の免許を取得。29歳で保育園・幼稚園の内装、家具・遊具のデザイン及び製作を手がける『ARIGATO COMPANY』を起業しました。

講義3

34歳の時、「次は女性が活躍する場所を作ろう」と思い立ち、『福ベーグル』を起業します。そのきっかけは、自転車で移動販売しているベーグルを見たときに「かわいいな」と思ったことでした。実は福島さん、それまでベーグルを食べたことがなく、作り方も知らなかったそう。試行錯誤ののちに最初は3坪のお店からスタートし、現在は5店舗を展開。福ベーグルの店舗や販促物デザイン、SNSやECサイトの運営などは、ARIGATO COMPANYがブランディングしています。

講義4

福ベーグルでは、店舗運営のほか、親子ベーグル教室などのイベントも開催する一方、社会課題である食品フードロス対策にも取り組んでいます。ECサイトでの販売をスタートしてからは、ほぼ廃棄が出なくなったといいます。「フードロスをどう減らすかというよりも、職場の人たちが気持ちよく働いてほしい、どうやったらベーグルへの愛情が損なわれないのかを考えた結果、社会課題の解決につながったと思います。」

講義5

ビジネスを「社会の違和感の解決」とおっしゃる福島さん。女性の進学率や労働力率が大幅にアップしたものの、出産後には働きにくい環境になってしまうことに違和感を抱いたといいます。働く女性たちに何ができるかを考えた結果、ベーグルのデリバリーを開始しました。女性の結婚・子育て・時間的制限などのライフサイクルに合わせ、働きやすい環境と職場づくりを目指しています。

第2部:ワークショップ「違和感×違和感で問題を解決しよう!」

ワークショップ1

後半のワークショップでは、「違和感×違和感をデザインして問題を解決する」をテーマにグループでアイデアを考えました。最初のグループは、『カフェでリモートワークをしている人が多く、席が空かない』×『図書館ではリモート会議ができない』という違和感から、土地が広い地方で、図書館内でも話ができるワークスペースライブラリの創設を提案。地方の活性化にも繋がると考えました。このアイデアに対して、「オンラインゲームみたいに、他の県の人とzoomでつながれるカフェとかがあっても面白そう」と福島さん。

ワークショップ2

次のグループは『就活スタイル』×『学生時代の校則』の違和感に着目しました。小さい頃は個性の大切さを教わったのに、成長するにつれて個性が消えてしまうことから、外見でははく中身で勝負できるような面接アプリを提案しました。ほかにも、『都心の満員電車』『地方人口の減少』『社会問題について気軽に話しにくい空気感』『宗教上の理由で給食を食べることができない子供たち』『大学生の就活の早期化』などに対してのアイデアが挙がりました。

総評

福島さんから総評をいただきました。「自分たちのやっていることが、社会の役に立ったらいいなと思っています。特に重要なのは、どうやって稼ぐか。どんなに優れたデザインでも、売れなければ意味がない。マネタイズは厳しい課題ではあるが、自分のアイデア、デザイン、想いが、お金という価値に変わり、それを再投資することで循環を生み出す。循環を生み出す方法を考えてほしいです。みんなでいい社会にできればと思います。」本日は貴重なお話をありがとうございました!