PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「21世紀のクリエイティブディレクション~社会をデザインする視点~」

プロジェクトデザイナー

金山 淳吾 氏Jungo Kanayama

PROFILE
1978年生。電通、OORONG-SHA、ap bankでの事業開発プロデューサーを経てクリエイティブアトリエTNZQを設立。コレクティブインパクトをコンセプトに様々なクリエイター、デザイナー、アーティストと企業、行政機関との共創でソーシャルデザインプロジェクトを推進。2016年より一般財団法人渋谷区観光協会の代表理事として渋谷区の観光戦略・事業を牽引。2018年、一般社団法人渋谷未来デザインの設立を牽引し、設立時理事として参画。2023年には47都道府県へと活動のフィールドを広げた一般社団法人channel47を設立。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

第1部:講義「21世紀のクリエイティブディレクション~社会をデザインする視点~」

講義1

本日は、渋谷区観光協会の代表理事でもあり、様々なコミュニティでプロジェクトデザイナーとしてご活躍されている金山淳吾さんにお越しいただきました。「デザインという言葉が色んな場所で使われるようになりました。皆さんが学んでいるデザインが、解像度を上げることでこんな活かし方もあるんだ!というようなヒントになれたらなと思っています」と金山さん。

講義2

まずお話しいただいたのは、テレビ番組企画のプレジェクトに関わっていた電通時代について。当時、時間をかけて企画を立てて3時間撮影しても、放送に乗る部分は1時間にも満たないということも少なくなかったそう。さらに解像度高く情報を伝えるために、金山さんは企画を書籍化することを考えます。試行錯誤しながらも書籍を作ったエピソードを聞かせていただきました。

講義3

一つの企画を解像度高くとらえると、展開性を考え始め、ひいてはプロジェクトに繋がりうるということに気づいたそう。そんな中、音楽プロデューサー小林武史さんと出会い、一緒にap bankという環境事業に携わったというエピソードに続きます。コンサートイベントでは、参加者は大好きな音楽を楽しむ代わりに、会場で販売しているオーガニックフードを食べ、ドリンクはリユースカップを使い、ゴミは13分類して捨てるなど、自然と環境活動に参画できるような企画を作ったといいます。

講義4

その後、金山さん自らTNZQという会社を立ち上げ、渋谷区観光協会の代表や渋谷未来デザインの理事にも任命されるなど、活躍の場が広がっていきます。観光協会のロゴは、渋谷区内で見つけたアルファベットを収集して並べたもの。イラストにしたりカラーを整えたり、デザインの力を借りればロゴになるんだと実感した金山さん。「デザインの力は多様性を繋ぐ鍵であると気づかされました。」

第2部:ワークショップ「ドラえもんの、次の「ひみつ道具」を発明する」

ワークショップ1

後半のワークショップは、ドラえもんの新たなひみつ道具の【機能】【UX】【ネーミング】【デザイン】を考えてもらいます。「ドラえもんでは、ひみつ道具を通して、様々な問題をテクノロジーの力で解決するというクリエイティブな世界が描かれていると感じます。現実可能なものでなくてもOKですので、できれば作品の中に出てきていないものが好ましいです」と金山さん。以下に学生たちのアイデアを紹介します。

ワークショップ2

◆味のみなもと…思い出の味を再現できるふりかけ。プロポーズの日のディナーなど、特別な日の思い出は味と合体していることが多いことに注目。夫婦喧嘩した時にもこれを食べると仲直りできる!?◆好きにナール…相手にとって良い香りを発する香水。気になる人との関係性を深める。◆カメレオンリング…リングをつけるとその日なりたい自分のイメージに合う体形・髪型・服装になる。自分の骨格や体系に縛られずにおしゃれができる。

ワークショップ3

◆本人マルチコピーベッド… 自分の記憶や体験などすべてを持ち合わせた自分のコピーが作りだせるベッド。体調や気分が万全でないときに代わりに活躍してもらえます!◆じゃがいもメガネ…人前で話す時に掛けると、人がジャガイモに見えるメガネ。緊張することなくプレゼンできる!◆分別らくらくイヤホン…ゴミの分別方法を推しの声で教えてくれる。ゴミの分別が楽しくて仕方ない!◆エモティ…喜怒哀楽をふき取ってなかったことにできるティッシュ。自分の感情をコントロールできる!

総評

「これからのデザイナーは、次に何をしよう?どのような社会にしていこう?と常に考えるのが仕事になると思います。自分が経験してきたことの価値を再認識し、全てを自分ごと化できるかが重要。また『固執せよ、そして軽やかに手放せ。』という言葉も共有しておきたいです。ある種の身軽さもこれからのクリエイターには大切だと思います。」金山さん、本日はありがとうございました!