PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「VI(ビジュアルアイデンティティ):モノゴトの記号化」

アートディレクター

木住野 彰悟 氏Shogo Kishino

PROFILE
東京都出身。2007 年にグラフィックデザイン事務所6D を設立。VI を中心に、ロゴやパッケージ、空間のインフォメーションデザインまで幅広く活動。近年の主な仕事に「不二家」のリブランディングや「KOKUYO DESIGN AWARD」 のグラフィック、「対馬博物館」、「神奈川県立図書館」、「京都 新風館」のVI・サイン計画、「石巻市震災遺構門脇小学校」サイン計画、「LOTTE ZERO」シリーズのパッケージデザインなど。D&AD、カンヌ、アジアデザイン賞、東京ADC、JAGDA、サインデザイン賞、パッケージデザイン賞など国内外のデザイン賞を多数受賞。

第1部:講義「VI(ビジュアルアイデンティティ):モノゴトの記号化」

講義1

本日は、6D代表でアートディレクターの木住野彰悟さんにお越しいただきました。VIを中心にパッケージデザインやサイン計画、ブランディングなど、様々なデザインに携わってきた木住野さんは、「これまでの仕事を振り返ってみると、ピクトグラム(案内記号)にアイデンティティや個性を与えて記号化するというお仕事が多い」とおっしゃいます。本日は『モノゴトの記号化』について様々な事例とともに解説していただきます。

講義2

まずお話しいただいたのは、『不二家』のリブランディングについて。不二家で認知度の高いものはロゴか、キャラクターか、またはその他か?という定量調査をしたところ、ダントツでキャラクターの認知度が高いという結果が出たそうです。もともとは「看板を変えたい」という依頼だったそうですが、変えるのではなく整理整頓(リブランディング)したほうがいいという木住野さんの意見が創業者との理念ともフィット。その結果、歴史のあるキャラクターを整理して記号化するに至ったそうです。

講義3

続いては、『キューピー×ららぽーとデザインパーク』について。イベントを記号化するにあたっては、「SNSなどでどのように拡散されるか?ということも予想してデザインすることが必要」と木住野さん。また、本格生ビールを家庭で楽しむサービス『キリン ホームタップ』のアートディレクションでは、家で飲むビールのシチュエーションを想像し、PR方法も考慮しながら記号化したというエピソードを聞かせていただきました。

講義4

その他にも、『新宿北村写真機店』『JAL SKY MUSEUM』『(THIS IS)NATURE』『アトリエ京ばあむ』『登戸駅ドラえもんサイン計画』『久松湯』『出雲大社埼玉分院』などのたくさんの事例を元に、VI・ブランディング・ロゴやパッケージ、サイン計画などを解説してくださった木住野さん。記号化する際のストーリーから、クライアントにプレゼンする方法まで、丁寧に独自のデザインエッセンスをお話ししてくださいました。

第2部:ワークショップ「神社仏閣のシンボルマークを考える(記号化する)」

ワークショップ1

後半はワークショップを実施します。前半の講義で木住野さんがお話ししてくださった出雲大社の事例を参考に、各々が選んだ神社仏閣のシンボルマークを考えます。「記号化する」をキーワードにシンボルマークを作成し、木住野さんにプレゼンするところまでがワークショップです。以下、学生が考案したアイデアを紹介します。

ワークショップ2

ネズミが恋愛成就の守り神として有名な「杉山神社」のシンボルマークを考えた学生は、ネズミの足跡を円型に並べ、円満なイメージで記号化しました。また、地元福島の「医王寺」のシンボルマークを提案した学生は、源義経のお付きだった佐藤継信と忠信の石積みのお墓が設置されていることから、四角い石が積みあがっているイメージで医王寺の三文字をモチーフに記号化。

ワークショップ3

和歌山の「水門吹上神社」のシンボルマークを考えた学生は、戦災により二つの神社が一つになりシンボルマークも二つあるという背景から、双方の神紋のイメージを残す形で記号化しました。江の島の「江島神社」を題材にした学生は、「江」という文字と、祀られている水の神である龍神の姿を記号化してシンボルマークを作りました。

総評

「記号化はピクトグラムとは違って、見ることでまず分かる・伝わるというコミュニケーションデザインが大切です。その上で情緒、らしさ、かっこよさ、アイデンティティなどを入れていくと、メッセージや感情を伝えられるデザイナーになれると思います。」木住野さん、本日はありがとうございました。