テーマ:「中村貞裕式 話題を作るプロデュース術」
トランジットホールディングス代表
中村 貞裕 氏Sadahiro Nakamura
- PROFILE
- 1971年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業後、株式会社伊勢丹(現 株式会社三越伊勢丹)へ入社。2001年に株式会社トランジットジェネラルオフィスを設立。カフェレストラン事業をスタートし、その後、ホテル、レジデンス、オフィスなどの空間プロデュースや、アパレル、企業ブランドなどのブランディングプロデュースなども手掛けるようになる。弊社のユニークでファッショナブルな発想は、日本はもとより海外においても高く評価されている。これまでグループ会社として、ケータリングイベント会社「株式会社トランジットクルー」、不動産会社「株式会社リアルゲイト(2021年 株式会社サイバーエージェントに全株式売却)」、人材紹介会社「株式会社トランジットキャリアアップパートナーズ」、ヘッドスパ事業会社「株式会社PALM HOUSE」、SDGs事業会社「株式会社FARMER YOU」などを設立。
第1部:講義「中村貞裕式 話題を作るプロデュース術」
講義1
今回は9年ぶり3回目のご登壇となる、トランジットホールディングス代表の中村貞裕さんにお越しいただきました。数多くの話題の飲食店をプロデュースされている中村さんですが、ここ数年ではコロナ禍を経験し、飲食店を中心とする会社の経営状況は困難を極めたといいます。しかしシェアオフィス事業などを展開しピンチを乗り越え、会社をホールディングス化したことで、まさに今会社が大きく変化しているといいます。
講義2
「創業以来会社は色んな変化を辿っているけども、考えていることは9年前から何も変わらないんです」と中村さん。トランジットは外苑前の雑居ビル5階のオフィス兼カフェからスタートしました。当時は空前のカフェブーム。気の合う仲間と『仕事の後の仕事場カフェ』を作ったのが始まりだったそうです。仕事をする方のためにコンセントやコピー機を、語りたい方のためにDJと音楽を、くつろぎたい方のためにアートを集め、あっという間に人気店になったと当時を振り返ります。
講義3
続いて同じビルの1階に、街の目印となることを目指したカフェ『Sign』を作り、さらにカフェブームの波に乗ることになります。その後も続々と新店舗をプロデュースし、渋谷ヒカリエの空きスペースにテイクアウトのカフェコーナー『THE THEATRE TABLE』を出店。コーヒーを好きなだけ作っていいよとバリスタに伝えた結果スキルが上達し、バリスタ世界チャンピオンを何名も輩出するなど、バリスタやコーヒー好きが会社に集まるきっかけになったといいます。
講義4
『bills』『SPICA』『GUZMAN Y GOMEZ』等、海外ブランドの日本初上陸の店を展開するほか、地方ブランドの『お好みたまちゃん』『二○加屋長介』等も東京に出店し、プロデュース店舗の人気はさらに加速することになります。その後訪れたコロナ禍では、『Pacific BAKERY』『Pacific Golf Club』『The UPPER』『CIRPAS』『dam brewery restaurant』『TOKYO CONFIDENTIAL』等をオープンし、コロナ禍ならではのプロデュース術で更なる話題の場所をつくりあげました。
講義5
自らをミーハーな性格と語る中村さんは、「100×1」=「1×100」という方程式を掲げて様々なマーケティング術を行っています。中でも、アウトプット力が優秀になればなるほどインプット力も上がることから、情報をインプットしたらすぐにSNSや仲間内にアウトプットすることを意識しているといいます。また最近では、自らの仕事について「CULTURAL ENGINEERING(場を運営して町や文化をつくること)」と定義されるようになったそうです。
第2部:ワークショップ「チームで話題を作るプロデュース案を考えてみよう」
ワークショップ1
後半では、前半で伺った中村さんのアイデア術を応用したワークショップを行います。学生たちは話題を作る場所のアイデアを考えて発表し、中村さんよりフィードバックをいただきます。以下、いくつかのチームのアイデアとフィードバックをご紹介します。「スパイス×SPA」→新たなサウナ飯でブームになりそう。「歯磨きサービス×デンタルサロン」→泥酔している人は危険だけど着眼点は面白い。
ワークショップ2
「ソロキャンプ×カフェ」→大きな展開にはならなさそうだけど、確かに飲み会後静かに落ち着きたい人はいるはず。「練馬区の高齢者×若者の孫体験」→練馬区にこだわるポイントが面白い。「セルフサービス×ソフトクリーム」→題を呼びそう!「個室×足湯」→個室の足湯は可能性がある!「ヒッチハイク×マッチングサービス」→求めている者同士であれば何かが生まれそう。
総評
「どのアイデアも面白かったです。例えば射撃カフェやソロキャンプカフェ。一人では実現するのは厳しいかもしれないけれど、射撃協会やキャンプメーカーが、カフェを通して遡及させたい等の後ろ盾ができたら、ものすごい勢いで話題になる可能性もあります。一人でなく、チームで一丸となれたら、ビジネスチャンスは到来します。この発想術をぜひ将来に活かしてください。」中村さん、本日はありがとうございました。