テーマ:「子供たちにドキドキワクワクをデザインしようⅢ」
こどもデザインプロデューサー
日比野 拓 氏Taku Hibino
- PROFILE
- 1972年神奈川県生まれ。工学院大学卒業。関わった国内の幼稚園・保育園、認定こども園等のプロジェクトは600件、海外でも40件を超えて関わっている。 建築デザインの他に、ワークショップやレクチャー、コンサルティング、海外視察ツアーなど、子どもに関わる様々なサービスを行っており、子どものためのデザインや環境の大切さを日本だけでなく 世界中に伝えている。2024年1月にオーストラリアのImages社から作品集The World design for childrenが世界で発売され話題を呼んでいる。
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第1部:講義「子供たちにドキドキワクワクをデザインしようⅢ」
講義1
本日は7年ぶり3回目のご登壇、日比野設計代表でこどもデザインプロデューサーの日比野拓さんにお越しいただきました。日比野設計は今年、世界の設計事務所ランキングベスト100における日本企業4社の中で、3番目に選出されました。また日比野さんが設立された保育園『KIDS SMILE LABO』は、厚木市で一番入園困難な保育園と言われるほど人気の施設となっています。
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講義2
お父様が設計したご自宅で幼少期を過ごした日比野さんは、ご自身も小さな頃から空間に興味を持ち、これまでに国内外で580か所以上の幼児施設をデザインしています。「空間づくりは環境づくりなので、家具が必要。でも既製品には幼児に合う家具がない」という考えから、幼児のための家具デザインの会社『KIDS DESIGN LABO』も設立されたといいます。
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講義3
日比野さんのつくる幼児施設には、「自然を感じられる空間」「本を読みやすい環境」「園児が経験すべき36の動きが習得できるデザイン」など、こどもたちのために考え抜かれた特徴があります。さらに、すべての施設で土地の歴史や特性を踏まえ、クライアントの要望を聞きながらコンセプトを明確にし、その土地にしか建たない世界でたった一つの園舎を創り上げています。
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講義4
一方で、高齢者施設と障碍者施設のデザインを手掛ける『福祉施設研究所』も起ち上げている日比野さん。少子化、待機児童、高齢社会、障碍者と地域の共生など、社会の課題に対して真正面から向き合っています。日比野設計では、忙しく働く社員のための無料のレストランや、社員のお子様が通うための保育園なども創設しているそうです。
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第2部:ワークショップ「保育園トイレエリア内のレイアウトを考える」
ワークショップ1
「保育園トイレエリア内のレイアウト」をテーマにワークショップを行います。まずは、日比野さんが実際にデザインした園舎を図面とともに解説してくださいました。それを参考に、保育園のコンセプトやレイアウトを自由に考え、幼児のためのトイレエリアを提案していきます。
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ワークショップ2
学生の発表したアイデアをいくつか紹介します。【テーマ:水の循環】はしごで登れる雲の遊び場や、川をイメージして傾斜をつけた手洗い場など、自然をモチーフにしたトイレ。【テーマ:帆】波をイメージした床には、船のデザインのトイレが。便器に座るとまるで船を運転しているような気分になれる。
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ワークショップ3
【テーマ:綿毛】たんぽぽの綿毛のように、トイレを波紋状に設置。こともが風に乗って自由に飛び回れるような動線に。【テーマ:遊び場】トイレを怖がるこどものため、アスレチックや風車などの要素を入れた楽しい空間。【テーマ:風の音】風の音色と仲良くなる空間コンセプトに、ドアを開けると風鈴の音が聞こえるしかけが。大人はこともがトイレに入った気配を音で察知できる。
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総評
学生のアイデアの中から金賞・銀賞・銅賞が日比野さんにより選抜され、受賞者には賞品が贈られました。「短い時間の中でも、トイレを楽しくしようとするアイデアがたくさん出てきて驚きました。理由をつけてデザインをするということが大事ですので、今後も意識してみてください。」日比野さん本日はありがとうございました。
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