テーマ:「情報に形を与える―思考へと導くデザインの可能性について」
中野デザイン事務所代表/アートディレクター
中野 豪雄 氏Takeo Nakano
- PROFILE
- 大学在学中、身体性に深く関わる書物の構造に惹かれ、製本、印刷、タイポグラフィなど、書物形成における理論と実践を学び、卒業制作にて書物の歴史的変遷と分布の視覚化を研究する。現在、株式会社中野デザイン事務所代表。主な仕事に「世界を変えるデザイン展」「DOMA秋岡芳夫展」「more trees展」「コニカミノルタプラネタリウム天空のデザイン」等がある。日本タイポグラフィ年鑑グランプリ受賞。世界ポスタートリエンナーレトヤマ、ラハティ国際ポスタービエンナーレ、中国国際ポスタービエンナーレ、JAGDA年鑑、日本タイポグラフィ年鑑、TDC年鑑入選。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。
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第1部:講義「情報に形を与える―思考へと導くデザインの可能性について」
講義1
今回は、アートディレクター/グラフィックデザイナーの中野豪雄さんにお越しいただきました。中野さんは大学卒業後、戦後の日本のグラフィックデザインを牽引された勝井三雄氏の事務所に4年間所属したのち、独立。中野さんのデザインコアは、「情報の構造化と文脈の可視化を主題に様々な領域でグラフィックデザインの可能性を探る」です。これが一体どのようなことなのかは講義を聞いてくれればわかると思います、と中野さんの自己紹介から始まりました。
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講義2
中野さんのお仕事は大きく分けてBook Design、Visualization、Total Designに分けられます。その中でもBook Designにおいては、本を作る=世界を作ると捉えているという中野さん。「文字が細胞であるならば、表紙は顔であるように、ブックデザインは様々な要素を統合していく行為です。私は装丁というよりもあくまで造本に関わりたいと考えています。」
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講義3
日本建築学会の学会誌『建築雑誌』のアートディレクション・デザインでは、毎号、内容と関連するインフォグラフィックスを作成していました。「人は、見ている情報の背後にある文脈を伝えると、能動的にその情報に対して思考するようになる。それを活用すれば、知りたくなる(考えたくなる)価値のあるデザインに繋げることができます。」
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講義4
膨大な情報から伝えるべき要素を抽出し、メッセージが込められたインフォグラフィックス。見ているうちに様々な内容が伝わり、「情報の構造化と文脈の可視化」の大切さが伺えます。震災にまつわるインフォグラフィックスからは、時間が経つにつれ震災に関連した情報がどのようなパターンで風化するか等、とてもリアルに感じることができます。その他にも、空間におけるグラフィックの事例も紹介いただき、情報に形を与えることの意味と価値について語られました。
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第2部:ワークショップ「インフォグラフィックスで人生を語る」
ワークショップ1
後半は、「インフォグラフィックスで人生を語る」をテーマにワークショップを行います。各々が人生のキーワードを5つ決め、5枚のトレーシングペーパーにキーワードごとのバイオリズムを描いてもらいます。横軸は年齢軸、縦軸はキーワードに対する興味の度合いを描いていき、最終的に5枚のトレーシングペーパーを重ね合わせてどうなるかを見ていきます。
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ワークショップ2
まずは中野さん自ら、人生のインフォグラフィックスを描いてくださいました。「なるべくバイオリズムは曲線でつなげること。この時は熱量が高かった、飽きてしまった、夢中になっていたなどを視覚化できると面白いです。それぞれ視覚化出来たら重ねてみると、何かのキーワードの度合いが下がったときには他のことに夢中になっていたんだ、などの気付きもあるはずですよ。」
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ワークショップ3
受講生も各々の人生のインフォグラフィックスを作成します。描き終わった後は、4人でグループを作り、作成したインフォグラフィックスを用いて自分の人生について紹介していきます。視覚化することで、初対面同士でも内容が伝え易くなり、相手も理解しやすくなります。各グループで会話が途切れることなく、大変盛り上がっていました。
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総評
「4月ということで、授業が始まったばかりの方がたくさんいると推測し、コミュニケーションを誘発するためにこのワークショップを実施しました。自分を語る行為はとても難しいことだと思いますが、何かのきっかけでスイッチが入ればこうも楽しく語れるということを体験してもらえたと思います。人と人とを繋げるものがデザインでもあるので、そこを感じていただけたらとても嬉しいです。」中野さん、ありがとうございました。
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