PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「デザインの本質的価値」

株式会社ヘッドスターツ代表 / インテリアデザイナー

山口 麻希子 氏Makiko Yamaguchi

PROFILE
インテリアデザイナー。株式会社ヘッドスターツ代表。武蔵野美術大学建築学科卒業後、東京都立品川技術専門学校木工技術科入校。在校中、和家具にて労働大臣賞受賞、家具製作技能士補資格取得。ワンダーウォールにてチーフデザイナーとして国内外の物件を手掛けた後に独立。2010年にヘッドスターツを設立。家具プロダクトからホテル、レジデンス、商業施設などデザインは多岐にわたる。鎌倉女子大学にて教壇にも立つ。CERSAIE Ceramics of Italy Journalism Award受賞(Italy, 2016)、Dezeen Awards 家具デザイン部門ロングリスト(England, 2020)、IAUD国際デザイン賞 インテリアデザイン部門 金賞(Japan, 2021)。
東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

第1部:講義「デザインの本質的価値」

講義1

本日は、HEADSTART代表でインテリアデザイナーの山口麻希子さんに登壇いただきます。大学では建築を学び、その後職業訓練校で木工家具を学ばれた山口さん。訓練校ではカンナの刃を研ぐところから始めたそうで、釘を一つも使わない家具を製作し、その作品が全国総合技能展で労働大臣賞を受賞しました。

講義2

卒業後はインテリアの設計会社に入社し、コスメやアパレルの什器デザインやディスプレイを担当。その後6年半ほどワンダーウォールに勤務し、リーマンショックの不況の時期に意を決して独立されたそうです。独立当初は「絵が描けるのだから、お金をかけない方法で営業するべき」というご友人の言葉から、毎日一枚手書きの「Sketch Album」をSNSに掲載していたといいます。

講義3

SNSでの活動が実り、独立後の足掛かりとなる案件を獲得してからは、たくさんのクライアントから依頼が来るようになったと話す山口さん。『Desert Villa』という家具のコレクションでは、木材の廃材や織物の端切れなど、通常では捨てられてしまうものを集めて家具に生まれ変わらせています。内装だけでなく、その中にある家具も含めてトータルで空間をデザインする手法は、山口さんだからこそ実現できます。

講義4

続いて、山口さんがデザインを担当された『心斎橋パルコ レストルームエリア』について解説いただきます。レストルームが施設の中で重要な役割を果たしていることから、「このレストルームに立ち寄りたいから商業施設に行く」と思わせる場所を作りたかったと話されます。ここでもDesert Villaの照明を使用し、商業施設の中に小さなリラクゼーション空間を作り上げました。

第2部:ワークショップ「心身共に豊かになれる特別なレストルーム」

ワークショップ1

講義でもお話にあがったレストルームをお題に、ワークショップを行います。テーマは「心身共に豊かになれる特別なレストルーム」。山口さんからレストルームエリアの平面図が配布され、CS施設(Customer Satisfaction facility/顧客満足度を高める付帯施設)の概要や、レストルームの提案をする際のポイントをお話しいただきました。「企画、内装、テーマ、アイデアなど何を計画してもOKです」と山口さん。

ワークショップ2

学生たちが考えたアイデアを紹介します。レストルームとしての機能を広げるアイデアが多く提案されました。予約制の個室レストルームを設置し、好きな音楽や香りが選べたり、タブレットで雑誌や漫画が読める空間をつくる。さらに化粧品の試供品を設置したり、男性にはシェービングができるスペースを設ける、などが挙がりました。

ワークショップ3

また、家族や友人を待つための休憩室をつくるアイデアも多く提案されました。具体的には、ファミリー向けに畳の休憩室を設置する、季節を感じられる演出を施す、プラネタリウムやアクアリウムなどで癒しの空間を作る、など。休憩とリラックス効果を兼ね備えたレストルームのアイデアが目立ちました。

総評

最後に山口さんから総評をいただきます。「皆さんが注目する感覚がとても面白くて、私も勉強させていただきました。自分の気持ちを敏感にキャッチするようにしてみてください。なぜこう感じているのか?それを打開するにはどうすればいいか?などを考える癖をつけておくと、様々なジャンルのデザインにも活かせるように思います。」山口さん、ありがとうございました。