テーマ:「空気をデザインする ~Part7~」
ベルベッタ ・デザイン 空間デザイナー
加藤 陽脩 / 竹内 美保 氏Yosuke Kato / Miho Takeuchi
- PROFILE
- ◆加藤 陽脩氏
取締役/チーフデザイナー。千葉大学園芸学部緑地環境学科を卒業。バンタンデザイン研究所を修了し、2012年よりベルベッタ・デザインに参画。国宝建築である善光寺本堂でのインスタレーションに初年度から携わるほか、丸ビルやグランフロント大阪をはじめとする全国各地の商業施設でのクリスマス・冬季演出、若林仏具店本店など店舗の内外装デザイン、イベント展示空間の設計など、幅広いプロジェクトを手掛ける。
◆竹内 美保氏 デザイナー。慶應義塾大学文学部、美学美術史学科を卒業後、東京デザインプレックス研究所で空間デザインを学ぶ。一級建築士事務所でのインターンを経て、2018年よりベルベッタ・デザインに参画。多くのプロジェクトにコンセプトメイキングから携わり、屋外空間でのインスタレーションやイルミネーション、商業施設のクリスマス演出などを担当するほか、ベルギーのイルミネーション企画Globall Concept とのプロダクト開発を推進。
第1部:講義「空気をデザインする ~Part7~」
講義1
ベルベッタ・デザインは『空気をデザインする』をコアに、創立者である長谷川喜美さんの想いを引継いで様々な空間クリエイションを手掛けています。本日はチーフデザイナーの加藤さんと、当校修了生でデザイナーの竹内さんにお越しいただきました。「私は美大芸大ではない文系の大学を卒業し、一般の企業に就職・退職後に東京デザインプレックス研究所で空間デザインを学びました。その後ベルベッタ・デザインに入社し、コンセプトメイキングやベルギーのイルミネーション企業とのプロダクト開発などに携わっています」と竹内さん。
講義2
本日のテーマである『空気をデザインする』とはどのようなことなのでしょうか。加藤さんは、その場所で人に何を感じさせるかに向き合いながらデザインしているとおっしゃいます。「場所に行く前の期待感や、行った時の発見や楽しさ、去った後の印象や記憶が残ること。これらは本を読んだ後に感じる読後感のようなものに似ているように思うのですが、それを伝えるためにどうすればよいかを常に考えています。」
講義3
続いて、ベルベッタ・デザインのこれまでのクリエイション事例をご紹介いただきます。「GRAND WISH CHRISTMAS 2023」「MIDTOWN WINTER LIGHTS “Gold Trees”」「2023さっぽろホワイトイルミネーション」などのクリスマスシーズンの華やかな空間デザインから、国宝建築である善光寺のイルミネーションまで、映像と共に紹介いただきました。照明や音楽など様々な効果が合わさって、現場の空気感が伝わってきます。
講義4
ベルベッタ・デザインが空気をデザインするために行うプロセスは、「知」「創」「証1」「伝」「証2」「魅」の6つだそうです。その過程で大事にしていることは、「分かりやすさ」「独自性」「“物語”を紡ぐこと」。実際に使用されたという、クライアントへのプレゼンテーション用のイメージパースなども見せていただきました。一つの空間をつくりあげるために、微細な調整と多くの時間が必要とされることが分かります。
第2部:ワークショップ「変容する空間を考える」
ワークショップ1
ワークショップにあたり、1枚の写真が用意されました。ワークショップのテーマは、「写真に写っている代々木公園のとある場所をデザインで変容させる」です。ルールは①コンセプトとストーリーを設定すること、②空間の特性を生かすこと、③変容させること(時間経過/天候/行動などとの連携)の3つです。学生はチームごとにアイデアを出し合います。
ワークショップ2
学生たちのアイデアをいくつか紹介します。【世界をつなぐ空】代々木公園はオリンピック跡地であることと、都心で最も空が広い場所という背景から空にコンセプトを定めました。【光と自然と溶け合う空間】風に揺れるランタン、人の体温により色が変化する光など、光と自然が融合するような空間。このほかにもたくさんのアイデアが各チームから挙げられました。
総評
最後に、お二人から総括をいただきました。「今回のワークショップを通じて感じていただきたかった事は、デザインを考え始める前の【プレスト】の時間が大切なんだということ。今日自分の意見を伝えるためにどのようにチームメンバーに働きかけたか、ぜひ思い出してください。付箋に文字を書いたり、スマホ使ってイメージを見せたりなど、どんな方法でも思ったことを周りに伝えることで、自分の考えに改めて気づくこともあるので、この時間を大切にしてください。」(加藤さん)
総評
「学校で学んでいる間は、自由な発想でアウトプットするトレーニングをしてみてください。どんなデザインでも、自分の考えを吐き出すことがとても大切です。グループで何かを取り組む時には、怖がらずに自信を持ってアウトプットすることを心掛けてみてください。」(竹内さん)ベルベッタ・デザインのお二人、本日はありがとうございました。