テーマ:「はじめてのインフォグラフィックス」
bowlgraphics代表/アートディレクター
德間 貴志 氏Takashi Tokuma
- PROFILE
- 2002年に「bowlgraphics」を設立。情報を整え、伝達・共有を円滑にするデザイン。思考の旅を案内する地図。可視化させるデータビジュアライズ。好奇心を刺激するインフォグラフィックス。著書『クリエイターのための3行レシピ地図デザイン』2007年/『世界の今がひとめでわかる図鑑』2014年。2011年度「ツタグラ賞」受賞。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。
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第1部:講義「はじめてのインフォグラフィックス」
講義1
今回のプレックスプログラムは、わかりづらいデータや情報を図やイラストでわかりやすく表現する「インフォグラフィックス」をテーマに、bowlgraphicsの德間貴志さんにお越しいただきました。講義を始める前に、徳間さんから簡単なミニワークが出題されました。お題は、犬・猫型ロボット・コーヒーカップ・雨のマーク・禁煙マーク・カメラの絵を10秒で書くというもの。学生同士で描いた絵を見せ合い、言葉からイメージする絵は人それぞれ異なるということをあらかじめ体感した上で、講義がスタートです。本日は「正しく見せる」と「楽しく見せる」を中心にお話をしていただきます。
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講義2
まずは「共通認識」についてのお話です。例えば、「○」と「×」を見ると人はどんな認識を持つでしょうか。また、その認識は世界共有なのかを確認していきます。私たち日本人は、「○」は正しいもの、「×」は間違っているものと認識しますが、地域によっては「✓」が正しいもの、間違っている箇所を「○で囲う」としているところもあるようです。さらに、○でも×でもない「△」に至っては、何の意味も通じない地域も存在しているとのこと。世界中の誰が見ても共通の認識を持つ例として、「→(方向を指し示す)」があると德間さんはおっしゃいます。
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講義3
正しく・楽しく伝える方法にはどのようなものがあるのでしょうか。そのうちの一つの「ピクトグラム」は、意味するものの形状を使って、その意味概念を理解させる記号のこと。その定義は「80%の人が正しく解釈する必要があり、まったく逆の意味を解釈する人は10%未満であること」だそうです。色と形によって分類されたピクトグラムにより、トイレ、非常口、道路標識など様々な場面で社会がうまく回るように作られています。また数と量を図で示す「図記号」や、商用的によく使われる「グラフ」、数や量を伝えるための「算用数字」なども解説いただきました。
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講義4
数字と図を利用することで「印象操作」が出来てしまうという側面もあるそうです。「例えば、伝えたいパーツを故意に大きく見せるということが現場で起きたりしています。こういったことに直面したとき、デザイナーとしては、『NO』と言うことも必要だと私は思います」と德間さん。他にも、「データビジュアライズ」と「インフォグラフィックス」の違いについても数多くの事例を解説していただきました。「インフォグラフィックスに取り組む際、全部説明し過ぎると逆に分かり辛くなることもあるので、少し考えさせる、計画された『気づき』を入れていくことも必要です。」
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第2部:ワークショップ「物語の可視化」と「推し布教のインフォグラフィックス」
ワークショップ1
ワークショップ1つ目のテーマは『物語の可視化』です。三匹の子豚または浦島太郎のどちらかの物語を選び、「エモーショナルジャーニーマップ」と「ステージマップ」を作成します。「エモーショナルジャーニーマップ」は登場人物の気持ちの変化を想像して、折れ線グラフで可視化したもの。「ステージマップ」は物語のストーリをマップ上に可視化したもの。物語をテーマにすることで、時間軸と空間軸の双方を可視化するトレーニングができ、自分のマップと他の人のマップを比べることで、捉え方のズレがあることに気づくこともできます。
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ワークショップ2
2つ目のワークショップのテーマは『推し布教のインフォグラフィックス』です。「アイドル・ミュージシャン・俳優・芸人などの芸能関係、サッカー・野球・バスケなどスポーツ選手、さらに競技そのものであったり、漫画やアニメでも良いですし、鉄道や歴史上の人物、ファッションやコスメ、などなどジャンルは問わず、自分が他人に布教したくなるほどのお気に入りのものをインフォグラフィックスを使って布教してください。それらにまつわるデータや情報を可視化してみてください」と德間さん。
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ワークショップ3
学生たちは事前に推しにまつわるデータや資料を準備してきており、意気込んでワークショップに臨みます。德間さんは学生たちにアドバイスを行いながら、それぞれの推しへの想いに耳を傾けてくださいました。推しの魅力を伝えるため時間をかけて完成したインフォグラフィックスは、正しく楽しく伝わるものになっているのでしょうか。学生は隣の席同士でプレゼンをして、本日のワークショップは終了です。
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総評
「何かを正しく楽しく見せるということは、社会の事を知っていないと難しいですよね。デザイナーは自ら可視化したものによって、情報を素早く楽しく伝えることもできますが、意図をもって誤解させることができる場合もあるので、皆さんには道徳的な責任を持ちながらデザイナーとして活躍してもらえたら嬉しいと思っています。」インフォグラフィックスがどれほど考えられた末に可視化されているものなのか、その深さを目の当たりにした時間でした。德間さん、ありがとうございました。
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