テーマ:「小林大悟のお悩み相談室」
アートディレクター/グラフィックデザイナー
小林 大悟 氏Daigo Kobayashi
- PROFILE
- 1977年生まれ。 YOAKE graphics代表 。アートディレクター/グラフィックデザイナー/イラストレーター。VI、広告デザイン、パッケージデザイン、書籍・雑誌デザイン等、エンタメ業界案件を中心に広く活動。東京デザインプレックス研究所 デジタルコミュニケーションデザイン専攻主任講師。プロフェッショナルラボ担当講師。主なクライアント実績:株式会社ポニーキャニオン 、株式会社ニッポンプランニングセンター、エイベックス株式会社、アップル ジャパン 株式会社、カエルム株式会社、 KRK produce株式会社、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ、株式会社日之出出版、 株式会社マイプリント、attik、株式会社かんき出版 等多数。
講義「小林大悟のお悩み相談室 問題解決に向かうグラフィック表現」
講義1
本日のプレックスプログラムは、 YOAKE graphics代表でアートディレクター/グラフィックデザイナーの小林大悟さんをお迎えします。アートディレクション、グラフィックデザイン、イラスト VI、広告デザイン、パッケージデザイン、書籍・雑誌デザイン等、エンタメ業界案件を中心に幅広く活動されています。当校ではデジタルコミュニケーションデザイン専攻の主任講師を務めていただいており、本日は小林さんファンの学生がたくさん集まりました。
講義2
今回は事前に学生からお悩みを募集し、小林さんの経験を通じてお答えいただくという特別プログラムを行います。学生からの最初の質問は、「デザイナーとして大切にしていることはなんですか?」。小林さんからの回答は、「謙虚な姿勢でいること、また自分に自信・プライドを持つことは意識しています。自分が良いと思ったモノでも、時には売上が悪かったりと結果がハッキリ出る職業だと思うので、自分の制作したモノには自尊心を持つようにしています。ネガティブな気持ちでいると、次回に制作するものにも100%で向き合えなくなってしまいます。」
講義3
次の相談は、「これから就職するにあたって、自分の得意なこと(お金を稼げること)と自分の好きなこと(気持ちが満たされること)のどちらを優先してキャリアを考えればいいか迷っています」という内容。「気持ちが満たされると言い切れるのであれば、そちらを優先すべきだと思います。お金については、意外と収入が変わっても生活は大きく変わらない。収入の差が数百万程度だったら、好きなことを優先した方が後悔がないと思います。仮に数千万、億単位であれば、大きく人生が変わるので、その生活の中で自分が満たされる方法を探していくのがいいかなと思います。」
講義4
続いての質問です。「新しいデザインの案件が来た際に、何か定番のアプローチ方法などはありますか?考え方の引き出しを増やすために、どんなところから着想を得るのかを広く聞きたいです!」小林さんは「クライアントとの打ち合わせでデザインの7割が決まると思っています。クライアントからはターゲットを抽象的に伝えられる場合も多いので、打ち合わせの際にメインでイメージしている消費者像を明確にすることが大切です。着地点を明確にすることで1人の人に深く刺さるデザインになり、それが周りの人にも伝わっていき結果として良い方向に進むことが多いと思います」とおっしゃいます。
講義5
さらに回答は続きます。「どこから着想を得るかについては、シンプルですが自分の直感で思い浮かんだものを大切にすることをオススメします。高クオリティのデザインを手軽に検索して見ることができる時代ですが、検索することで自分の作っているものに不安を覚えたり、アイディアの接点になるものを探してるつもりでも実は制作の答えを見つけに行ってしまったり。その結果、誰かが作ったものをベースにした作品になってしまう可能性を孕むためです」とお答えいただきました。
講義6
次は「自分のデザインに自信を持てない時は、どういう風に受け止めて昇華していくべきですか?より良いデザインを作るためと理解していても、他人から批評していただく度に落ち込んで自信をなくしてしまいます」というご相談。こちらには以下のような答えをいただきました。「自分は大丈夫だと思うためには、在学中に自分を信じられるための何かを作ってほしいと思います。例えば、就職のためのポートフォリオなど、戦略的に考え過ぎてしまうと、自分が最初に作りたかったものとは違うものができてしまうこともありますよね。」
講義7
学生たちは大きく頷きながら真剣に耳を傾けます。「その結果、自信を失って落ち込むこともあったり。そんな時は、別の何かを作ってみてください。疲れている時や自信がなくなった時は、楽しみながらわがままに作品を作ってみてください。それで自信を回復することができるかもしれません。デザインは人に対して何かを伝えるものですから、他人の視点を理解することは重要です。しかし、自分が傷つくようなら、無理に他人の意見を聞かなくても大丈夫です。心に余裕がある時だけ、向上心が戻ってきた時に、再び他人に見てもらって意見を取り入れてみてください。まずは自分自身の心身の健康を大切にしてください。」
講義8
これらの質問以外にもたくさんの質問が寄せられ、それら全てに丁寧に答えていただきました。身近な目線でアドバイスをいただけたことで、学生はデザインを前向きにとらえる機会になったのではないでしょうか。最後に小林さんにメッセージをいただきました。「もしもっと話をしたいという方がいれば、私は学校にいますので、どんな時でも遠慮なくお声掛けいただければお話を伺います。皆さん応援しています。」小林さん、本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました。