テーマ:「花と私」
華道家
萩原 亮大 氏Ryota Hagiwara
- PROFILE
- 専門学校卒業後、ファッションショーの演出家アシスタントを経てオーストラリアへ 1 年間放浪の旅へ。 帰国後、母校にてファッション学部の講師を務め、 ハンドメイドのアイテムを創る仲間を集めたアトリエ「STORY」を主宰。 その後、華の世界に魅了され、草月流 竹中麗湖 師事のもと、華道家を志す。30 歳を前に鋏をバックパックに詰め込み、インド、イラン、モロッコ、ヨーロッパなど世界各国を旅する。約 6 年の修練を経て草月流師範代を取得。2016 年より華道家としての活動をスタート。生命力溢れる力強い作品や、ダイナミックなLIVEパフォーマンスで東京を中心に活動中。
第1部:講義「花と私」
講義1
本日のプレックスプログラムは、華道家の萩原亮大さんをお迎えします。プレックスプログラムではこれまで、日本の伝統文化の担い手の方に何度か登壇していただきましたが、華道家の講義は初めてになります。海外では作法や礼儀などを含めた総合芸術と言われ、日本の芸術文化を体現したものとして人気がある華道。萩原さんは、華道の伝統を尊守しつつも現代的にアレンジする若き華道家の一人として注目されています。今回は「花と私」というテーマでお話を伺っていきます。
講義2
10代前半からファッションに目覚め、裏原宿のファッションブランドに通い詰めていたという萩原さん。将来はファッションの道に進むと心に決め、高校卒業後はその思いの通りファッションの専門学校に入学します。在学中はファッションを表現する場所であるファッションショーに魅せられ、学生ながらショーの演出家に弟子入りすることに。卒業後もファッションの世界に没頭し、スタイリストとして活動しながら母校で講師をしていました。「寝る間も無く働いていましたが、全く苦痛ではありませんでした。ファッションが大好きでしたから」と萩原さんは当時のご自分を語られます。
講義3
そんな萩原さんに転機が訪れます。講師として学生のファッションショーで使用していた花を片付けていた時、初めて「花と私」の新鮮な感覚を味わったそうです。世界で勝負できるクリエイティブを求めていた萩原さんにとって、華道との出会いは衝撃的でした。その後すぐに華道の教室に通い始め、ますます花の世界にのめり込んでいった萩原さんは、花切りハサミを1つ持って世界一周の旅に出ます。道中は様々な葛藤があったそうですが、道中のモロッコの砂漠で見た星空との出会いにより、花と共に生きていくという想いをさらに固めたとおっしゃいます。
講義4
帰国してすぐに、萩原さんは行動を起こします。福島県郡山の復興祭に自ら連絡を取り、大きな鳳凰をモチーフにした自費制作の生け花を展示します。また、茶人や書道家などのクリエイターと共にライブイベントを行うなど、従来の華道とは異なる手法で道を切り開いていきます。「時間を忘れるくらい夢中になれるのが好きな証」とおっしゃる萩原さんですが、自らがそれを実践すべく現在も数多くの作品を作り上げています。
第2部:ワークショップ「生け花ライブをやってみよう」
ワークショップ1
後半のワークショップでは、生け花のライブパフォーマンスを全員で体験します。「花とは何か?」「華道とは何か?」を考える前に、花に直に触れる体験から何かを感じ取ってもらいたいという萩原さんの想いが、このワークショップには込められてます。受講生は10人組のチームになり、1人1分の制限時間内で順番に花を生けて1つの作品を作り上げます。事前に飾りたい花を持参してきている学生もおり、生け花ライブに対する意気込みが感じられます。
ワークショップ2
教室には数多くの花や流木が用意され、号令と共にライブパフォーマンスが始まりました。緊張した雰囲気の中、トップバッターの学生の大きな流木を使ったパフォーマンスに、教室内は一気に盛り上がります。萩原さんからは「自分の感性を信じて、自由に生けて下さい。今までの花に加えるもよし、全部壊して行うもよし、自由です」と声が掛かり、学生たちの動きは更に活発になっていきます。
ワークショップ3
1回目の10人のタームが終了すると、2回目の創作のイメージを共有するため作戦会議が開かれました。萩原さんからは「次はもっと自由度を高めたいので、隣のチームから花を持って来ても良いし、教室の空間をフルで使っても良いです。ではスタート!」と声が掛かり、教室は再度熱気に包まれます。2回目はパフォーマンスがさらに大胆になり、チームで協力してさらに良い作品を作ろうという雰囲気が伝わってきます。
総評
最後に萩原さんからメッセージをいただきました。「実はこのワークショップは初めての試みでした。学生の皆さんがいきなり花や木を生けてくれるのか少し心配だったのですが、勢いよく大胆に生けるのを見て、とても嬉しかったです。僕は色々ありながらも花が好きになって、夢中になる楽しさを味わっています。皆さんも好きなものがあるからデザインを学んでると思うので、その好きなものを追求してみてほしいです。そしていつか一緒に仕事ができたら嬉しいです。」萩原さん本日はありがとうございました!