PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「五感で感じるデザイン」

LINE inc代表/インテリアデザイナー

勝田 隆夫 氏Takao Katsuta

PROFILE
1972年生まれ。静岡県出身。インテリアデザインを学んだ後、店舗デザイン会社に入社。1996年に清水薫らとともに製鉄工房を備えたデザインチーム「EXIT METAL WORK SUPPLY」を設立。家具のデザインから製作まで行う。2002年にインテリアデザインを軸としたLINE-INC.を立ち上げ独立。現在に至る。

第1部:講義「五感で感じるデザイン」

講義1

今回のプレックスプログラムは初登壇となるLine inc代表 インテリアデザイナーの勝田隆夫さんに行っていただきます。勝田さん率いるLine incは国内外で数多くの施設を手掛けており、「BEAMS」をはじめとした魅力溢れるデザインばかりです。講義では勝田さんが考えるデザインについてたっぷりとお話いただきます。当校の空間デザイン系の学生たちからも人気のLine inc、実際に働く卒業生も会場にお越しいただきました。学生たちは先輩の活躍に勇気付けられるのではないでしょうか。会場の注目が集まる中、講義が始まります。

講義2

はじめに、これまでの経歴をお話いただきました。東京でインテリアを学んだ学生時代、音楽好きだったこともあり、クラブイベントの主催など積極的に行われていたそうです。1日だけインテリアを変えるイベント企画など、今の仕事へ通じる活動を既にされていました。その後、最初に就職した設計会社から独立し、鉄工所時代を経て2002年にLine inc設立に至ります。商業施設の空間デザインをメインとしているLine inc。「ドアノブから街の風景までデザインする」を掲げ、多岐に渡る仕事を手掛けられています。デザインの際には訪れる人、働く人、そういった方々の気持ちや目線を考えデザインすることが、長く愛される空間に必要なのだそうです。

講義3

次に手掛けて来られた仕事についてお話いただきます。Line inc設立後に携わった「NUMBER(N)INE new york」ではクライアントからの要望に応え、昔からその場所にあるような雰囲気を目指してクリエイティブをされたそうです。細部に至るまでのこだわりが訪れた人の心を動かす空間を生み出すことへ繋がっていきます。この件を通して、仕事の魅力を改めて感じたという勝田さん。続々と携わってこられた空間をご紹介と共に当時のエピソードをお話いただきました。聴き入る学生たちの表情も真剣です。

講義4

最後に勝田さんがお仕事の中で意識されていることとして「クライアントと共にやっていくこと」を挙げられました。勝田さんは話の中でデザインを膨らませていく事が多く、クライアントと話す中で最終的なデザインの着地点まで決めていくそうです。そんな勝田さん、「編集能力」がご自身の長所だと話されます。様々な仕事へ関わる中で触れる、良いと思うこと、人と話すこと、そういった情報を新しい仕事へ活かすことで魅力的な空間を実現できるのだそうです。「どんな人と出会ってどんな仕事をするかがとても重要」と語る勝田さんの言葉は空間のデザインに限らず、あらゆる場面で鍵となってくるものではないでしょうか。

第2部:ワークショップ「あなたが行く初デートのPLANを企画してみよう」

ワークショップ1

前半の講義が終わりワークショップに移ります。今回、勝田さんが用意されたワークショップのお題は、「あなたが行く初デートのPLANを教えてください」です。「条件や制限はないので、お金的な、場所的なものの指定は何もありません。初デートに彼氏彼女を誘うとしたらどんなプランニングにしますか?」というテーマ。提示された条件の中でどのようなアイディアが出てくるのでしょうか。どんな意図がこのテーマの背景にあるのでしょう、さっそく学生たちは6人1チームとなって取り組みます。

ワークショップ2

各チームでプランが練られ、それぞれの思いを込めたアイディアが発表されます。チーム1は題して「デザインプレックスで出会った人と行く、迷わないテッパンデートコース!」ポイントは、デートの相手を知り合って間もない人と設定、メジャーな場所を回りながら、お互いに気を遣い過ぎずに過ごすというプラン。「実際にこのプランで行った事がありそう」と勝田さんも面白そうな様子です。続くチーム2も知り合ったばかりの人を相手に想定、クリエイティブへ触れる機会を取り入れつつ短時間でというプラン。

ワークショップ3

他にも、相手と一緒にアクティビティをするというチームや普段は気軽に話せる仲のため工夫してギャップを見せるというチームも。皆それぞれの視点からこだわるポイントを決めてプランを練った様子。全てのチームの発表が終わり、勝田さんからこのワークショップの狙いが説明されます。「どんな仕事でも同じだと思うんですけど、身近なデートでも同じ事があるんです。」と勝田さん。リサーチ、アイデア、ディティール、…チェックポイントをクリアしつつ、最終的には掲げた「目的」を達成できたかが大事なのだそうです。

総評

最後に勝田さんから学生たちへ総評をいただきました。特に仕事では「誰か」のために作る、そのために自分の視点を一歩ずらしてプランニングする事が必須だと話されます。「(そのために)日々、いろんな経験値を得る事が大切です。そこで蓄積したものがデザインやプランへ変わっていくので、アンテナを張れているかという事が重要なんだと思います。」学生たちにとって、クライアントの方と仕事をするという視点を感じる時間になったのではないでしょうか。勝田さん、ありがとうございました!