PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「BE FUN BE SUSTAIABLE」

WAT inc.代表/クリエイティブディレクター

石渡 康嗣 氏Yasutsugu Ishiwatari

PROFILE
数々の飲食店の企画運営に携わった後に、2013年に株式会社WATを設立。清澄白河「ブルーボトルコーヒー」、蔵前「ダンデライオン・チョコレート」といった日本展開プロデュース・マネジメントや、三茶・蔵前・芝浦・表参道に展開する「Coffee Wrights」や大崎「CAFE & HALL ours」などの、街にとって必要な場としてのカフェの企画・運営を行っている。話題の千葉県大多喜町のボタニカル・ブランデー蒸留所「Mitosaya 大多喜薬草園蒸留所」にも参画。

第1部:講義「BE FUN BE SUSTAIABLE」

講義1

本日のプレックスプログラムは、初のご登壇となるWAT代表の石渡康嗣さんをお迎えしてお送りいたします。元々はサラリーマンだったという石渡さん。今の職に辿りつくには色々な変遷があったそうです。WATの前に石渡さんは一度起業を経験したといいます。そして知人に誘われ再度独立に至ったそうです。そして今現在から2013年に株式会社WATを設立。「ワッ!となることをつくる会社になるといいな」との想いから命名されたと石渡さんは言います。

講義2

2004年に石渡さんは初めてカフェを開きます。フットサルコートの隣にカフェをつくるといったアイデアだったと石渡さんは語ります。また豊洲にパーベキューのできるカフェも開いています。400坪ある敷地でやってほしいとの案件で、その規模の大きさにびっくりしたそうです。100坪のカフェと300坪のバーベキュー場で設計され、大好評であったそうです。その他にもラムとテキーラだけのバーを開くなど精力的に活動していたと石渡さんは説明していました。この時期が石渡さんにとっての苦悩の5,6年だったそうです。

講義3

その後、茅ヶ崎につくった「CAFE POE」から今現在の仕事に近づいてきたと石渡さんは言います。茅ヶ崎駅から徒歩40分の立地でその土地に住んでいる人を対象としたカフェであったそうです。団地の建て替え事業が日本全国で進んでおり、新しい家族層を迎え入れる境目に来ているという状況の中で老若男女に来てもらえるようなカフェづくりを目指したと石渡さんは語ります。石渡さんは空間を作る際の大切なキーワードとして「楽しいか」、「持続可能か」の2つを上げています。

講義4

「Blue Bottle Coffee」を日本に持ってくる仕事を受けた際、石渡さんは「Blue Bottle Coffee」のブランドを本質的に理解し、日本だったらどういう展開がいいのかを考え、それを平らげられる日本法人をつくるにはどうしたらいいのかとそれに必要な人材を集めることが主な仕事になったと語ります。「Blue Bottle Coffee」は日本のコーヒー事情を一度シャッフルしてくれた存在であると石渡さんはいいます。サードウェーブコーヒーというマーケットをつくり、缶コーヒーやドトールやスターバックスに行っていた人が気軽に買えるコンビニコーヒーを利用するようになるなど、コーヒーの在り方を変えるキッカケとなったと言える存在であると説明していました。

第2部:ワークショップ「郊外にあるカフェを企画しよう」

ワークショップ1

後半はワークショップに入ります。学生たちに前半の講義の内容も踏まえて、各チームに分かれグループワークを実施してもらいます。今回は「郊外」というシチュエーションでCAFEに何かプラスアルファの要素を加えた空間をつくるというお題となります。石渡さんにワークショップで使用するワークシートも予め用意していただいていることもあり、学生たちも意識が高まっているのが感じられます。

ワークショップ2

それでは早速、各チームの考えた内容を発表していきます。最初のチームは「フリーマーケット」とカフェの造語で「フリカフェ」という案になります。カフェ内でフリーマーケットを行えるというものでメルカリなどとも連携することで売り上げをアップさせるという内容となります。この案には石渡さんからかなり良いとの評価をいただきました。次は「幼稚園」とカフェを掛け合わした「キンダーガーデンカフェ」です。子連れの家族をターゲットとしており、郊外という場所を生かした有機野菜をつかった料理を出したり、食育を促進するための料理教室を開いたりするという内容です。石渡さんからは、日本人は子供への寛容さに欠ける面があるのでその場に対しての寛容さを獲得できれば良い場所になるのではないかと講評をいただきました。

ワークショップ3

次々と発表が続きます。次は「プリモチカフェ」です。「プリプリモチモチ」の略で、郊外でのんびり疲れを癒す場をつくるといったコンセプトでぽっちゃりした動物と触れ合うことができ、タピオカなどのモチモチした食事を提供するといった内容です。石渡さんからは普通に面白いアイデアで良いけど、もうタピオカカフェでいいのではという講評をいただきました。次は「畑カフェ」です。カフェに畑を併設し農業体験ができると同時に、採れた野菜を使った料理が楽しめるといった内容になります。石渡さんからは、儲けるという発想よりも場が成立するという発想が大切であるという講評をいただきました。郊外の農地を借りるということでその周りの住民への還元方法まで考えられると良いとのことです。

総評

では最後に石渡さんから総評をいただきます。「実現するものとしないものの差はアイデアの差ではなく、やるかやらないかだけです。なので僕自身トライ&エラーを重視しています。今日はワークショップなのでとりあえずアイデアを出してみただけかもしれませんが、もし本気で何かやろうと思ったら死なない程度に失敗する“やや転け”をお勧めします。僕はもう傷だらけで、1の成功に対して、100の思考錯誤を繰り返しているそれくらいの比率だと思います。是非皆さん色々失敗してくよくよしないで、直ぐに立ち上がればいいだけなのでやっていただけると楽しいかなと思います。」石渡さん素敵な授業をありがとうございます!またの登壇をお待ちしております。