テーマ:「子供たちにドキドキワクワクをデザインしようⅡ」
こどもデザインプロデューサー
日比野 拓 氏Taku Hibino
- PROFILE
- 1972年神奈川県生まれ。工学院大学卒業。関わった国内の幼稚園・保育園、認定こども園等のプロジェクトは600件、海外でも40件を超えて関わっている。 建築デザインの他に、ワークショップやレクチャー、コンサルティング、海外視察ツアーなど、子どもに関わる様々なサービスを行っており、子どものためのデザインや環境の大切さを日本だけでなく 世界中に伝えている。2024年1月にオーストラリアのImages社から作品集The World design for childrenが世界で発売され話題を呼んでいる。
第1部:講義「子供たちにドキドキワクワクをデザインしよう」
講義1
本日のプレックスプログラムは、2回目の登壇となる、こどもプロデューサーの日比野拓さんをお迎えして行います。日比野さんは540を超える幼児施設を設計し、国内外で幅広く活躍されています。また、世界中が注目する幼稚園、熊本の「認定こども園第一幼稚園」を手がけたことでご存知の方も多いかと思います。そんな日比野さんから今回はどんなお話が聞けるのか、プレックスプログラムのスタートです!冒頭は幼稚園の話ではなく、社員旅行で行ったメキシコでの出来事からスタート、この旅行記にもワクワクドキドキが満載でいきなり引き込まれます。
講義2
日比野さんがこれまでに手がけた事例を写真を交えながら紹介していただきました。代表作の一つ、熊本の「認定こども園第一幼稚園」の設計にあたり、屋根を可動式にし、雨が降ると開き、水たまりができるよう考えたそう。そのおかげで普段なかなか水たまりで遊ぶ機会のない子供たちがこぞって遊びます。子どもの目線を大事にしている日比野さんだからこそ実現できたアイデアですね。
講義3
日比野さんが幼児施設を手がけるうえで心掛けていること、それは『ワクワク・ドキドキ』。「安全性ももちろん大事。ですが幼稚園は、子どもがそこでただ過ごすだけではなく、大人へと成長していくうえで、色々と学んだりしていくための施設なんです。だからこそ僕は、子どもの目線に合わせて、どうすれば子どもたちの成長を手助けできるか、楽しい、面白いと感じてもらえるだろうかを優先して考えています。」と日比野さん。幼児施設への熱い情熱がうかがえました。
講義4
「人生」や「建築」、そして「デザイン」。これらに共通して必要な物は、コンセプトとストーリー性であるという日比野さん。建築において階段の段差一つにしても意味がある、すなわちストーリー性があります。「そこにちゃんと意味をもたせておけばクライアントも好きか嫌いかではなく、正しいか正しくないかで判断してくれる。説得力が生まれるんです。だからこそデザインにおいても、すべての事にしっかりとしたコンセプトやストーリー性が必要なんじゃないかと僕は思います。」と熱い熱い講義で前半は終了です。
第2部:ワークショップ「幼稚園の遊び場のデザイン」
ワークショップ1
前半の講義を踏まえ、後半は幼児施設に関し てのワークショップを行います。テーマは「幼稚 園の遊び場のデザイン」です。幼稚園をデザイ ンするにあたって、佐賀県に実在する幼稚園 のわずかなスペース(およそ4 m×17m)に子 どもたちの創造力と体力を養い、そして飽き ないような遊び場というのが今回の条件。日比 野さんは設計の際、かがむ、跳ねる、(ボールを) 投げるなどの、子どもの成長に必要な要素を養 えるアイデアを取り込んでいます。そういう点に も注目しながら考えてくださいと日比野さん。
ワークショップ2
まずは6〜7人のグループに分かれ、アイデア出しやコンセプト立てを30分程で行います。童心に返り、どうやったら子供がワクワクドキドキするか?こういうモノがあったら良いな、じゃあここはこうした方が面白いんじゃないかな、と学生たちは楽しそうにアイデアを膨らませていました。子どもの目線に合わせたコンセプトとストーリー性を意識してみんな試行錯誤しながら考えていきます。同時に前半の講義を踏まえて、佐賀の特徴は何か?佐賀だからできることはないかも熱く議論してます。さあ、日比野さんを驚かせようなアイデアは出てくるのでしょうか。
ワークショップ3
あっという間に時間は過ぎ、発表の時間です。それでは幾つか抜粋して紹介します。「邪馬台国の卑弥呼さまへ」「探検・発見・七つ窯」「干潟と宝探し」「自分達で作る佐賀の道」などなど…。所在地が佐賀県という事で、佐賀県に因んだユニークなアイデアが数多く発表されました。一つ一つの発表に細かく講評していただき、学生たちも大いに勉強になったようでした。
総評
あっという間に時間は過ぎ、発表の時間です。それでは幾つか最後に日比野さんから総評です。「皆さんの提案、とても面白かったです。与えすぎないという事がすごく大事であると僕は思っていて、あくまできっかけだけは与えるけれど、あとは子ども達が自ら遊びの術を生み出していく。そういうきっかけ作りがデザインされたものが子供たちを成長させていくので、是非今後子どもに関するデザインや企画に関わるようなことがあれば今回の僕の話をヒントにして取り組んでくれたらと思います。」抜粋して紹介します。「邪馬台国の卑弥呼さまへ」「探検・発見・七つ窯」「干潟と宝探し」「自分達で作る佐賀の道」などなど…。所在地が佐賀県という事で、佐賀県に因んだユニークなアイデアが数多く発表されました。一つ一つの発表に細かく講評していただき、学生たちも大いに勉強になったようでした。