PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「わかりにくいものをわかりやすく、 わかりやすくしたものを深く考えて、 深く考えたものを明るく表現して、 明るく表現したものをまじめに考える」

バタフライ・ストローク代表/クリエイティブディレクター

青木 克憲 氏Katsunori Aoki

PROFILE
バタフライ・ストローク・株式會社代表取締役/クリエイティブディレクター、アートディレクター、グラフィックデザイナー。東京アートディレクターズクラブ、東京タイポディレクターズクラブ、日本グラフィックデザイナー協会会員。1965年東京日本橋生まれ。サン・アドを経て、1999年バタフライ・ストローク・株式會社設立。主な受賞に、日本グラフィックデザイナー協会新人賞・日本雑誌広告賞・交通広告賞・東京アートディレクターズクラブ賞・東京タイポディレクターズクラブ賞等多数あり。主な仕事に、「吉野家」「フィールズ」「ウルトラマン」「キリンラガービール」のブランディング・クリエイティブディレクション、「NHK2020応援ソングプロジェクト」「コカコーラ」「宇多田ヒカル」などの広告・グラフィックデザイン、「読売ジャイアンツ」「ほぼ日刊イトイ新聞」「サマリー」などのエンブレムマーク・ロゴマークなど。

第1部:講義「わかりにくいものをわかりやすく、わかりやすくしたものを深く考えて、深く考えたものを明るく表現して、明るく表現したものをまじめに考える」

講義1

本日のプレックスプログラムは初の登壇となるバタフライ・ストローク代表の青木克憲さんをお迎えしてお送りします。青木さん率いるバタフライ・ストロークは皆さんが一度は見たことがあるデザインを数多く手がけています。広告はもちろん、グラフィック、映像、立体など、幅広い分野で私たちを魅了する青木さんから多くの事を吸収して欲しいと思います。

講義2

まずは、青木さんに近年手がけられたお仕事についてお話していただきました。青木さんはフィールズ株式会社と一緒にウルトラマンやガンツといった、多くの人が既知なコンテンツをVFXやVRといった、最新の技術を使ってもう一度、価値を再生させる事業に取り組んでいます。青木さん自身、子供のころからキャラクターものが好きだったということもあって、このお仕事に携われていることは非常に嬉しい事だといいます。他にもドラマ仕立てで話題となった吉野家のCMのディレクションなども手掛けられ、青木さんの多岐にわたる活躍ぶりがうかがえました。

講義3

そもそも青木さんがこの業界に入ったきっかけは、仲條正義氏の事務所でのアルバイト経験だったと言います。プロの現場を直に体感することによってグラフィックデザインに強く興味を抱くようになりました。そしてサン・アドを経て1999年、バタフライ・ストローク・株式會社を設立します。「広告やグラフィックなど、デザインというものは気にされないと意味がなくて、嫌われてもいいから気にさせないとダメなんです。まとまったデザインももちろん大事ですが、どこか破綻させたデザインの方がキャッチーで魅力的に見えると僕は思います。」と青木さん。この制作プロセスは学生たちも大いに参考になったのではないでしょうか。

講義4

ほかにもキャラクタービジネスにも力を入れている青木さん。その作品の数々を、貴重な制作秘話を交えてお話ししていただきました。仕事を少しづつ受注生産型から生産型へ変えていこうと、自分たちでオリジナルキャラクターをつくり、そのキャラクターのライセンスを取得することで従来の閉塞感を打破しようと考えたそうです。そしてその思惑通り、青木さんが手掛けた愛らしいキャラクターは様々な媒体で使われることになります。いつまでもデザインの可能性を模索し続ける青木さん。これからの活躍も本当に楽しみです。

第2部:ワークショップ「吉野家1 号店移転キャンペーン企画」

ワークショップ1

前半の講義を終え、後半はワークショップです。お題は「吉野家1号店移転キャンペーン企画」。築地に1号店が誕生して100年以上の月日が経ちます。そんな長い歴史のある1号店が築地市場とともに豊洲に移転すると仮定し、その移転までの期間に1号店に感謝の気持ちを込めて1号店ないし全国の吉野家を使い、これまでにないような面白い企画を考えてもらいます。この吉野家も前半の講義でも触れたウルトラマンやガンツ同様、これまで数々の企画が生み出されたコンテンツと言えると思います。だからこそ是非青木さんを驚かせられるような企画に挑戦してほしいと思います。

ワークショップ2

各自グループになってアイデアを出し合っていきます。牛丼に関して様々な話題が飛び交う中、昔吉野家でアルバイトをしていた人や、今まで吉野家に行った事がない人がいたりなど、みんなの牛丼に対しての印象や思いが数多く伺えました。「面白い企画を待っています!もちろん商品でもいいし、キャンペーンやサービスでも構いません。また、同じ企画でも伝える人や方法が違うだけで相手側の捉え方がすごく変わってきます。なので、どう魅力的に伝えられるかという事も意識してみてください!」と青木さん。どんなアイデアが出てくるのか楽しみです。

ワークショップ3

それではいくつかご紹介していきます。まずは「屋台型の移動式店舗」。“ぼくたちは旅立ちます。全国へ。”をキャッチフレーズに、創業当時の味や店舗デザインを復元した屋台型の車で全国を周りながら吉野家の味を改めて知ってもらおうという企画です。「吉野家ミュージアム」。これまで吉野家が歩んできた時代背景や広告の数々を紹介したり、最新のテクノロジー、例えばプロジェクションマッピングを取り入れた映像で吉野家とまた違う形で触れてもらう狙いのアイデアです。他にも牛丼や牛自体の競りをするイベントなどユニークなアイデアが数多く発表されました。

総評

最後に青木さんから総評です。「同じ企画でも一番面白かったり、印象に残るような伝え方をした人の方が絶対惹かれるんですよ。だから何を提案するかいう事ももろろん大事なんですけれど、自分をどう売り込めるかという事の方が僕はすごい重要だと思います。いくら自分のアイデアが良くてもそれが相手に上手く伝わらなかったらもったいないと思うのでそういった事を是非心掛けてほしいなと思います。」