テーマ:「“捨てられないデザイン”を考える」
パタゴニア サーフ東京ストアマネージャー
小川 透 氏Toru Ogawa
- PROFILE
- パタゴニア社
アメリカの登山用品、サーフィン用品、アウトドア用品、衣料品の製造販売を手掛けるメーカー、及びそのブランド名。環境に配慮する商品で知られており、環境問題に取り組むグループの助成を行っている。
育英工業高等専門学校 電気工学科卒業
株式会社シマノ、プリンスホテルを経て2000年パタゴニア入社
第1部:トークショー「“捨てられないデザイン”を考える」
講義1
新進気鋭な戦略で最先端を常に走り続け、地球に優しいものづくりや自然保護のイベントなど、環境問題に向き合うアウトドアブランド・パタゴニア。そんな世界的トップメーカーのストアマネージャー・小川透さん、特別サポーターとしてリテール・プロモーションマネージャーの市原さん、ストア販売員の伊藤さんとミタムラさんにお越しいただきました。現代社会の複雑な課題と向き合う考え方、その極意を学ぶため、多くの受講生が集まりました。
講義2
パタゴニアと言えば、丈夫なウェアやバックパックなど身に着けるものが有名ですが、やはり注目すべきは、1972年の創設時から「クリーンクライミング」の擁護者として世界を席巻している経営理念。その事の起こりやユーザーの声を映した、企業紹介映像を見せていただきました。「“もの”に対して、もう一度、大事なものはなんなのかを思い起こすことができる動画です。みなさんの心に何か響くものがあればいいと思います。」と優しく語りかけます。
講義3
会社が主軸に掲げているのは「Quality(品質)」「Integrity(誠実)」「Environmentalism(環境主義)」「Notbound by convention(しきたりにこだわらない)」の象徴的な4つのコア。「僕らは、製品の質を上げるだけでなく、地球に与える負荷を抑えながら、ビジネスを通して消費者や企業に対して環境危機を伝え、解決を進めていきたい。」と、自然に対する愛情や情熱が垣間見えます。オリジナリティを求めながらも、創設者の想いを受け継いでいる芯の強さに、受講生は胸を打たれました。
講義4
リスクがあっても正しいと思ったことをやっていくこと。誰かの手本になるようなやり方で、新しい道を示していくことを続けています。」と市原さんは語ります。実際に1993年には、ペットボトルをリサイクルしたフリースを製作。96年にはすべてのコットン製品を、農薬を一切使わないオーガニックのものに変更しました。他にも、過度に増加している動物や植物を素材に採用するなどして、大地へのインパクトを極力抑えた製品を提唱しています。
第2部:ワークショップ「捨てられない○○をデザインする」
ワークショップ1
パタゴニア製品のキーワード「一生捨てられないもの」。今回は「捨てない〇○をデザインする」をお題にワークショップを展開します。実際に捨てない何かを産み出すとき必要なものとはなにか。製品のクオリティなのかビジネスシステムなのか、または社会の構成なのか。8人のグループでブレーンストーミングしていきます。思考を凝らし考えついたアイディアを、代表者が発表します。
ワークショップ2
約30分の限られた時間の中で、膨らませてるイメージ。それぞれのグループで、「生活していると、無駄なものが多い気がする」「ヴィンテージと表現するものなら、捨てないのでは?」などと、お互いの考えを共有しながら試行錯誤を繰り返します。実現に向けたストーリーを付随させ、イメージを型に落とし込んでいきます。
ワークショップ3
愛着を作って“捨てられないもの”にする「子供から大人になるまで使えるスニーカー」や「捨てない癖」、捨てられない環境でライフスタイルごと変える「捨てない長屋」などユーモラス溢れるアイディアが続々と登場。発表を聞いた伊藤さんは「コミュニケーションの大事さ」を、ミタムラさんは「少しでも意識を変えることの大切さ」を説きます。「想像する時に大切なプラスアルファの力がある気がします。」と、どのグループにも良い評価を頂きました。
総評
短い時間の中でしたが、様々なアイディアをぶつけた受講生に感想を頂きました。「今回サポートとして参加して、みなさんから刺激を貰ったり、もっと考え直さなければいけない事がたくさん湧きあがりました。とても良い時間でした」と市原さん。「少ない時間の中でのワークショップ。色んなアイディアが出てきました。これを、頭の隅に考え方を置いてもらって、みなさんの考えのヒントになればと思います。」と、受講生にお褒めの言葉を頂きました。本日はありがとうございました。
Text by 編集&ライティングコース 修了生 城所有由