テーマ:「本を書く、本を作る」
書籍デザイナー
早川 いくを 氏Ikuo Hayakawa
- PROFILE
- 1965年生。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。広告制作会社、出版社勤務を経て独立。
2004年には奇想天外だが実在する様々な生物を取り扱った『へんないきもの』を出版。同書は食玩などの関連商品を生みだすほどのベストセラーとなった。
続編の『へんないきもの三千里』では同じテーマで小説化を試みた。テレビ番組「世界一受けたい授業」に講師として出演するなど、より広い場で活動を続けている。
近著「「★カッコいいほとけ」「態度がデカイ総理大臣」
第1部:トークショー「本を書く、本を作る」
講義1
本日は、書籍デザイナーの早川いくをさんを講師としてお迎えしてプレックスプログラムを行っていきます。書籍デザイナーというあまり聞きなれないご職業の早川さんですが、ベストセラーになった「へんないきもの」の著者といえば、知ってる方も多いはず。あのユニークな書籍がどんな経緯で創られていったのかを聞くことが出来るとあって、受講生の皆さんも楽しそうな和やかな雰囲気でスタートです。
まずはデザインと物書きという二足の草鞋を履くことになった早川さんの経緯をお話いただきました。
講義2
「分岐点にキーマンが立っている」という話から始まり、美大時代、デザイナー時代と要所要所には必ずと言って良いほど、早川さんの可能性や能力を高く評価してくれる人に出会って来ました。そのキーマンの一人が大学時代の友人であり、当校の講師でもあるトール至美さんだったそうです。そして今回の本題「へんないきもの」が出来上がるまでのお話に入りました。書籍デザイナーとして、とにかくこだわったのは生き物のイラストだったそうで、このイラストを早川さんのイメージ通りに書ける人を探すのに本当に苦労したそうです。
講義3
実際に早川さんがイラストレーターさんとやり取りをしたFAXを見せて頂きました。デザイナーならではの細かいやり取りのディレクションはとても参考になります。 早川さんも「デザイナーにはデザイナーなりのディレクションが出来ます。イラストの細かい指示はもちろん本の紙面をどのように見せるかはデザイナーの腕の見せどころです」と実例を沢山混ぜながらお話いただきました。また早川さんの特徴はその独特な語り口、流れるようでいて随所に挟むユニークな表現に引き込まれるように時間は過ぎて行きます。
講義4
早川さんは装丁自体もご自身でデザインし、タイトルまでも自ら決めていくというプロセスを経て「へんないきもの」が出来上がりました。このベストセラーが多くの苦労を経て世に生み出されたかと思うと、また違った目で読み返すことが出来ます。最後は売れたので調子に乗りすぎたと自ら話される本の広告を解説していただき、前半は終了です。とっても愉快な講義で教室が楽しい雰囲気になりました。
第2部:ワークショップ「言葉とデザイン 自分キャッチコピーを作ろう」
ワークショップ1
本日のワークショップテーマは「言葉とデザイン」。デザインをする上で欠かすことのできない言葉についてワークショップ形式で学んでいきます。 最初は頭の準備運動と題して「思いついたフレーズを書き出してみる」ことを行いました。CMのキャッチコピーや流行語になったもの、フレーズならば何でもOKの準備体操です。ニコニコしながら沢山書きまくる人、中々思いつかずにペンが止まっている人、様々な様子が見て取れます。デザインと同じく言葉も情報の引き出しは重要だと思わされます。
ワークショップ2
続いては言葉の切り口を学ぶワークショップ。 早川さんから童話「桃太郎」を例えの題材として出していただき、切り口とキャッチコピーの例を講義していただきました。そして皆に出されたお題は「鰹節」。この鰹節のキャッチコピーの切り口を各自が考えて発表していきます。 約60人の受講生の発表全て目を通し、コメントを即時に行う早川さんの反射神経にも驚かされます。言葉にする前に切り口がとても重要であると学んだ受講生に最後に与えられたお題は「自分のキャッチコピー」です。
ワークショップ3
自らに関してキャッチコピーを付けるというお題には、やはり誰よりも自分については詳しいのか、スラスラと書きつらねて行く受講生が多いです。 あっという間に時間が過ぎ、発表です。発表は一人一人キャッチコピーの後に自分の名前を言うというちょっと照れくさい発表形式をとります。事前に切り口を学んでいたので、個性的なキャッチコピーも多くありました。「外見や内面の特徴」や「経歴や職業」に基づいたキャッチコピーが多くあり、一人一人の発表の後には笑いが起こるなど、大盛り上がりの自分キャッチコピー発表になりました。
総評
全体講評を兼ねて、早川さんから最後にお題が出されました。内容は2014年12月に早川さんが出される書籍の帯のキャッチコピーを考えてみて!というもの。早速受講生から、立て続けに帯のキャッチコピーの案が出されました。その後に早川さんから発表された本物のキャッチコピー案に、教室は今まで最も大きい感嘆の声が起こりました。さすがプロの仕事は違うと最後に思い知らされた私たちでした。早川さん本日はありがとうございました。