PLEX PROGRAM REPORTプレックスプログラムレポート

テーマ:「振り切ったアイデアを出すための発想術」

株式会社バーグハンバーグバーグ代表

シモダ テツヤ 氏Tetsuya Shimoda

PROFILE
株式会社バーグハンバーグバーグ 代表取締役社長。京都出身。株式会社paperboy&co. を経て、2009年に株式会社バーグハンバーグバーグを設立。地獄のミサワを生みだしたWEB コンテンツ「オモコロ」初代編集長。「インド人完全無視カレー」や「イケてるしやばい男長嶋」「すごい豆まき」等々の振り切った企画を生みだし、今はHONDAやロッテ等の大企業からの依頼も殺到する「日本一ふざけた会社」の代表取締役。会社の企業理念は「がんばる。」

第1部:講義「バーグハンバーグバーグ流企画術」

講義1

本日のプログラムは、ユニークなアイデアを世に送り出し続ける企業、バーグハンバーグバーグの代表である、シモダテツヤさんをお迎えしての講義です。自己紹介、企業実績の紹介から講義が始まります。「インド人完全無視カレー」「アクアクララの水172兆8000億リットルプレゼント」などWeb で一度は目にしたことがある、そして一度見たら忘れられない「バズる(=ソーシャルネットで話題になる)」ことを目的とするバーグハンバーグバーグらしいプロモーションが次々と紹介されます。

講義2

続いて自社ブランディングへと話題は進みますが、営業を一切しないというバーグハンバーグバーグ。「知ってもらうことが一番大事で、次に何を出すんだろうと思ってもらったり、どういう会社か分かってもらうことがすごく大切だと考えています」とシモダさん。また、制作の中で重要視しているというビジュアル撮影に関しては「取引先に熱湯を掛けると熱がるのか」などの一見驚くべき企画も、実際にお願いして撮影しているとのこと。「引きになる部分なので、合成も大事だけど、実際にやってみる絵ってすごく面白かったりする」とのことでした。

講義3

講義はミニ質疑応答へと移り、様々な質問が投げ掛けられます。「バズらせるって一歩間違えると嫌な方向に流れそうな気がしますが、気をつけていることは?」という質問に対しては「人を馬鹿にするんじゃなくて、自虐になるようにしています。面白いは人それぞれだから、みんなが面白いと感じるものはない。8 割が笑ってればでいいやと思わないと、ソツのない提案しかできないんです」との回答をいただきました。また、裏返しに着ていたシャツを受講生に指摘されて着直す場面も。さすがシモダさんです。

講義4

続いて「会社名はどう決めたんですか?」という質問が。「いろいろアイデアは出て、その時は笑っていてもそれは一周回ってるから面白いということもある。知識がマニアックになりすぎていたり、身内ネタになっていたりするので、その時は半歩戻ってフラットに誰が見ても通じるところに戻る。そこにあったのがバーグハンバーグバーグでした」という回答でした。この「半歩戻る」の感覚は会社名だけでなく、企画や記事を制作する上での大事な考え方でもあるそうです。

第2部:ワークショップ「振り切ったアイデアを出すための発想術」

ワークショップ1

ワークショップの前半は、シモダさんが「世の中に対するデフォルトを見つけて、その反対を考えるとその落差がギャップになり面白い」と解説する『ギャップ論』を「○○なのに○○」という穴埋めで実際に考えます。発表されたアイデアは「焼き肉屋なのにベジタリアン」「オーケストラなのに1 人」など、なかなか秀逸なものも。「ギャップを見つけてそれを形にすると、面白いサイトや作品ができるという考え方の1つ」ということでした。普段あまり意識して考えない「ギャップ」という概念に苦戦したグループも多かったようです。

ワークショップ2

ワークショップの後半は、バーグハンバーグバーグの文化である『威嚇案』の考え方についてです。「面白いけど絶対に通らない振り切ったアイデア」というのが威嚇案で、「相手が怒るかは考えない」「コスト度外視」など一見驚くべき考え方で思考のリミッターを外し、アイデアを広げていくそうです。「枠の中で考えることは大切だけど、それが癖づいてしまっている人が多い。できないかもでやらないのはもったいない。それが何かに転じることはとても多いです」とシモダさん。

ワークショップ3

グループワークは「いっそ怒られるアイデアを出す」というお題で、ハンバーガーチェーンをモデルに実際に威嚇案を考えます。「AppleとのコラボでハンバーガーにiPhone を挟む」「ドライブスルーで本当にスルーされる」など、ファーストフードのイメージを元にした威嚇案が発表されます。前半よりどのチームも発想が柔軟になっているように感じました。普段とは一味違ったワークショップでしたが、受講生は自分の固くなっていた頭を十分に認識できたと思います。

総評

終わりに一発で通したくて60点のアイデアを出す人がとても多い。そんなのは全然面白くないし、誰かがやっていること。それならば絶対に通らない120点のアイデアを出して、90点に調整するほうが簡単。何回も直すことを面倒くさがるからだめな話で、そんな感じの思考を持っていると良いんじゃないかと思います。僕はこれをギリギリセーフの極意と呼んでいます」と、威嚇案の意義について総評をいただきました。