テーマ:「ファッションデザイナーから学ぶデザインエッセンス」
ファッションデザイナー
玉置 博人 氏Hiroto Tamaki
- PROFILE
- 1979年生まれ京都出身立命館大学卒業後、服飾専門学校を修了。その後渡仏。フランス専門学校Studio Berçot卒業。
BALENCIAGAコレクションチームアシスタントを経て帰国。
2008年、自身のブランドet momonakiaを立ちあげる。
13S/S Mercedes-Benz Presents designerに選出。Mercedes-Benz Connectionにてショー形式でcollectionを発表。13A/W Mercedes-Benz Fashion Week(東京コレクション)参加。 現在、KOOGEN に所属。映画「寄生獣」の深津絵里さん演じる「田宮」の衣装デザイン担当。映画「進撃の巨人」衣装デザイン、テキスタイルアドバイザー担当。ミュージカルコンサート『KING&QUEEN』 鹿賀丈史×濱田めぐみ 衣装デザイン担当 2015S/S より羽石 輝と.SEREN/DIPITY.を立ち上げる。SEREN/DIPITY.2015S/S COLLECTIONをMercedes meにてINSTALLATION形式で発表。
第1部:トークショー「ファッションデザイナーのデザインエッセンス」
講義1
本日の講師は現役のファッションデザイナー玉置博人氏です。もともとはバイヤーに興味があり、モノづくりはどちらかと言えば苦手だったそうです。いつからデザインに興味を持ったかというと、大学在学中に参加した服飾系専門学校のサマーコース。ここで1ヶ月間毎日デザイン画を描き続け、描く楽しさに気が付いたそうです。サマーコース終了後は本格的に大学と専門学校のWスクールでファッションデザインについて学んでいきます。
講義2
卒業後、留学資金を貯めフランス「スタジオ・ベルソー」に入学。毎週10~15体のデザイン画提出の課題があり、常にデザイン画を描く生活を再び送ります。「美術館や図書館が多く、デザインを学ぶには環境が整っていた」と当時を振り返り、玉置講師の制作過程における基盤はここで培われたとのこと。このエピソードについては後程じっくりお話しいただきます。
講義3
そしてフランス留学時に相方・城賀氏に声をかけられ、帰国後すぐ「エモモナキア」を立ち上げます。最初のコレクションでは「販売したいというバイヤーを断った」と“あくまでお披露目”だけを目的として行い、メディアから注目を集めます。けれど、ただのパフォーマンスではなく「当時はお金もなく、1着作るのがやっと。販売できる体力がブランドになかった」という裏エピソードも。
講義4
「売りたい値段で売ってみよう」と市場を無視し販売を始めるが、案の定売れず。「妥協したところはあった」と、価格の再設定やサイズを充実させながらも「遊び心とエレガンスの境界線」というコンセプトを崩さずに行っていました。ショーでも「既存にはない」というスタンスは変えずスポンサーの要望を取り入れる部分はモノづくりに欠かせない柔軟性ですね。
講義5
続いては玉置講師のデザインを考えるときについて。年2回開催されるコレクションの準備期間でデザインについて考えられるのは2週間程度。そんな中、大まかなイメージを持ちつつ、体が「デザインを出したい!」と疼くまで何もしない。体が疼いたら一気に動き出し、図書館へ行き、資料をひたすら集め、自分のイメージに取り込み作り上げる。「資料集めはフランス時代に培った。僕にとって大切なこと」と教えてくださいました。
第2部:ワークショップ「エモモナキアのプロモーション実践」
ワークショップ1
ワークショップは「エモモナキア」のプロモーションを考えます。ファッションデザイナーと仕事をしたと想定して、ターゲットやコンセプトなどを踏まえ、チームに分かれてグラフィック・空間・WEB・編集とそれぞれの立場から意見を出し合って行きます。
出てきた提案は「大人のサーカス」、「元彼の結婚式」、「場末の居酒屋と美女」…など、すべてのチームがショーの演出の提案となりました。
ワークショップ2
「いつもは男だけで考えているから女性目線の発想は面白い」と玉置講師も真剣なプレゼンに耳を傾け、「モデルは演技をするの?」「セットや照明は?」というような細かいディテール部分にも質問をし、ブランドデザイナーとアートディレクターのショーの打合せを覗き見しているような光景です。「僕ばかりが得れるようなレベルの高いワークショップでした。実際に行われるショーで使わせていただくかもしれません」と笑顔で話す玉置講師。
講評
「デザイナーにはどれだけ引き出しがあるかが大切。過去に集めた資料も今、制作しているイメージと合致するかもしれない」とジャンルを超え、デザイナーとしてのアドバイスを頂きました! 「影のある女性が好き」だそうで、「エモモナキア」のブランド名も好きな女性アイドルの名前から由来しています。ショーにおいてもそのアイドルを意識したメイクを施したりと、細部にわたるこだわりエピソード、大変興味深かったです。
玉置講師、本日はありがとうございました!
Text by 編集&ライティングコース 2012年4月生
鳥居友依