デザイン戦略を支える“ フラッグシップコンサルティング ”。
物心ついたときから建築家になりたいと思っていました。進学も建築学科を専攻し、卒業後は設計会社に勤務。その際、知人に「コンサルティングの仕事が向いているのでは?」と言われたのです。そこから興味を持ち、進路を変えていきました。そして、電通コンサルティングに在籍しつつ、会社を立ち上げました。
デザインコンサルティングとは、ブランディングとマーケティングを中心とした企業戦略のことです。かつて企業のブランディングといえば、会社のロゴデザインを一新して終わり、ということが一般的でした。でもそんな時代はすでに過ぎ去り、現在は企業を支援していくうえで「フラッグシップコンサルティング」が必要だと感じています。デザインを通じてサービスや商品、空間など、新しいシンボルとなるフラッグシップの開発を手掛け、企業にとって未来の事業の柱となりうるものをつくるべき、という考え方です。
具体例としては、まず「ウェアラブルメモ」。高所作業中の作業員や病院の看護士など、現場の最前線で働く人びとのためのメモです。肌用感圧型転写シール技術、俗に言うタトゥーシールの技術を使い、腕や手に文字を書き込むことができます。
羽田空港国際線ギフトショップの再生支援もフラッグシップコンサルティングの一環です。ピーク時の半分以下にまで落ち込んだ売上を、日本人旅行者向けにポジショニングを変更した全面リニューアルを行うことで売上前年比150%に向上しました。その他、震災で被害を受けた気仙沼市の創造的産業復興プロジェクトなど、さまざまな分野の仕事に携わっています。
それらのプロジェクトの中で活かされていると思うのは、建築からスタートした自分が持っている「建築思考」です。建築は、人も環境もすべてひっくるめて考えていくもの。でも、往々にしてリターン、すなわち“いかに収益を生む建築をデザインするか”については、まだまだ未開拓です。自分は、そこまで踏まえた戦略をこれからも立てていきたいですね。戦略というと堅苦しい印象があるかもしれませんが、もっとも大切なのは、自分の気持ちや表現したいという欲求です。これはどの仕事でも同じだと思っています。