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神戸 太郎Taro Kambe

PROFILE
デザイン会社「PRETEND Prints & Co.」代表。雑誌「POPEYE」のアートディレクションをはじめ、ファッションブランド「BEAMS」「THE NORTH FACE」「URBAN RESEARCH」のカタログやルックブック、企業のロゴデザインなど幅広く手掛ける。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。

今があるのは、好きなことを積み重ねてきたから。

中高生の時はファッションに興味があって、雑誌をよく買っていましたね。高校3年生のときに病院だった実家を継ぐのが嫌で家を出て、バイトやDJをしながら一人で暮らしていました。当時読んだ実験音楽の本がきっかけで、アートを学びたいと思ったのが最初の転機です。

知人の勧めもあってニューヨークのアートスクールに留学。美術史を専攻したのですが、英語でプレゼンをするのが辛かった。結局辞めてしまったのですが、日本にいる同級生が就職先を決めている時期に、自分は何もしていない状況に焦りを感じましたね。学位ではない何かを持って帰らなきゃと、寝る間を惜しんで本や映画からいろいろなことを吸収する毎日。そして、文学部の友人とZINEを作ることに。追い込まれていたこともあって、見よう見まねで必死に作りました。

日本に帰ってからも、バイトをしながらZINEを作っていました。ZINEを通して知り合った方のデザインを手伝う機会があったのですが、それが楽しくてDTPを勉強し、雑誌デザインのバイトをすることになりました。遅くまで仕事をしていましたが、職場には話の合う人も多く、大変だとは思わなかったですね。そのうち、POPEYEがリニューアルをするタイミングでデザイナーを募集していると聞き、面接に行きました。

この世界でやっていくと決めたのは、4年続けたPOPEYEのデザイナーを経て、一人でアートディレクターをやるようになってから、やっと。仕事に対する姿勢も視点も大きく変わりました。スポーツのチームプレーと同じで、みんなで勝つために、誰にどう動いてもらうかという感覚で動いています。皆に気を配り、一人一人に伝え方を変えたりすることが大切ですね。責任は重く大変ですけど、楽しんでやっています。

思い返してみると、好きなことをやってきた積み重ねが、今に活かされているんだと思います。自分はずっとフラフラしていたから、いつでも助っ人に行けたし、何でもやるようにした。好きなことに対するフットワークの軽さだけが強みだった。不安や焦りを感じていたけど、つまらないと思うことをずっと続ける間にチャンスを逃すよりは、遥かによかったんじゃないかな。好きなことがあって将来やりたいと思うなら、不安になる前に、とことんやればいいんです。続けていれば、それはちゃんと形になると思います。

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