PROFESSIONAL MESSAGEプロフェッショナルメッセージ

川上 シュンShun Kawakami

PROFILE
1977年、東京/深川生まれ。artless Inc.代表。日本の伝統美と現代的感覚、古典技法とテクノロジーを組み合わせるなど、アートとデザインの境界に位置する「芸術としてのデザイン」を探求している。活動領域は多岐にわたり、アート、デザイン、タイポグラフィック、インタラクティブ、ビデオ、インスタレーションなど、アートとデザイン双方から多方面へアプローチを続け、グローバルに活動を行う。主な受賞歴は、NY ADC:Young Gun 6、カンヌ国際広告祭(Cannes Lions International Advertising Festival)金賞、D&AD賞、iF:International Forum Design Hannover(Germany)」、CREATIVITY INTERNATIONAL AWARDS:41st annual、ONE SHOW DESIGN(NY)ゴールドペンシル金賞、DFAA-Design For Asia Award 2013(HongKong)、東京TDC、グッドデザイン賞、SDA AWARDS 2013、DSA Award-Japan Design Space Association Award(GOLD PRIZE-日本空間デザイン賞/優秀賞)、The Webby Awardなど。東京デザインプレックス研究所プレックスプログラム登壇。 www.artless.co.jp

ゴールを見つけられる技術こそが、デザインのセンス。

高校までサッカー少年だった僕は、当時プロを目指してました。しかし、無理だなと感じ、「だったらほかに何をするか?」と考えたんです。同じように僕は、スケートボードが好きで。グラフィティや、ボードのグラフィックとか、音楽とか、そういった馴染みのあるストリートカルチャーの影響もあり、また、美術館や建築、インテリアにも興味があったので、「響きがいいからデザイン」ぐらいの気持ちで、学び始めたのがきっかけです。

その後、まだ、20歳になる前にマンション等のブランディングを手掛けるデザイン会社で働き始めました。その後、アパレルメーカーから大規模なブランディングの仕事を個人的に受けたことがきっかけになって、22歳の終わりに独立したんです。早い、とよく言われるんですが、単純に会社にいたらできないから独立しよう、みたいな感じでしたね。若いとナメられるから、当時は年齢を詐称してましたね(笑)。とにかく自分の好きなことや興味を持てることは積極的にやりました。Webも最初は面白いなあと思って独学で始めました。でも、自分よりもっと上手い奴がいることに気づいて、分業することに。全て一人のデザイナーがあれこれやっていた当時、分業って考えは珍しかったんですけど、僕は建築が好きで勉強していたこともあるから、その分業のしくみを、すんなりWebにも取り入れていけたのかもしれません。勝てない試合はしたくないし、勝てるところは勝てる奴に頼めばいい。サッカーと同じく、チームを組むようにやりました。

正直、デザインセンスって、ある人とない人がいるのは確かです。でも、センスは磨くことができる。それには、僕は“見る”ことが一番大事だと思ってます。良いものを見極め、消化して、自分のデザインとしてもう一度創り出す。作る技術も大事だけど、肝心なのはそういうところ。たとえ時間がかかっても、自分ならではのゴールを見つけられる技術こそが、センスだと思っています。今の若い人たちは、デジタルネイティブだから、敢えてアナログな表現をデザインに組みこんでも面白いんじゃないかな。あとは、自分が好きなものとデザインとを融合してみるのも良いと思う。音楽でも、ダンスでも、演劇でも何でもいい。デザインは楽しくやらないとね。