“ジェネラリスト”というプロフェッショナルを貫く。
店をプロデュースするにあたって、まず着手するのは店名と、15文字くらいの説明文作りです。雑誌に掲載されて話題になることをまず主眼に置いているので、説明文はそのままキャッチコピーになるようなイメージですね。店名や説明文、それぞれの要素がわかりやすければ、スタッフもお客さんに説明しやすいですし。さらに、来店した方からも他の人に教えたいと思ってもらえる。そうやって話題になっていくんです。他にも、店を構成する要素、例えばインテリア、グラフィック、シェフ、メニュー、ユニフォームなどに対してそれぞれの方向性を決めます。そうすれば、いろいろなジャンルでPRフックができるようになるのです。
仕事では、多くの人、コト、モノを巻き込んでいきます。「すべて一人でやろうと考えない」「仕事仲間と一緒に創り上げていく」というのが一貫した僕の姿勢ですね。独立してからずっと「何でもできる!」と自分で思い込んで、どんな仕事でも断らずにやってきました。実際にできるんですよ、人と組みさえすれば。
ただ、人と組むために自分自身のブランディングもやってきました。若い頃から、ジェネラリストといえば聞こえがいいかもしれませんが、流行りモノに飛びついてはすぐ飽きることを繰り返してきたんです。そういう性格なんですね。年を追うにつれて周りの皆はある一つのことのスペシャリストになっていく。そんなプロの連中が、好奇心旺盛で広く情報を持つ自分にいろいろと話してくるようになったんですよ。幅広く、なんでも知っておくと細かいトゲになる。そのどれかのトゲが引っ掛かりになって、会話が成り立つわけです。その道についてはプロでしょうけど、それ以外のことなら僕のほうが知っている。“ジェネラリスト”に徹すればいいんだと気づいてから、今の仕事が天職だと思えるようになりましたね。
例えば「この人と仲良くなりたいな」と思ったら、仲良くなるための仕事は何かないかな、って考えるようになりました。仕事ありきじゃなくて、仲良くなりたいから仕事。そうしているうちに仲間の輪が広がって、いざという時に力になってくれるんです。