プレックスプログラム レポート

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「Design=Hospitality」

2016年10月1日(土)

株式会社HUGE 代表

新川 義弘 氏

Yoshihiro Shinkawa

<PROFILE>

新川 義弘 株式会社HUGE 代表取締役社長兼CEO。
1982年福島商業高校卒業。新宿東京会館(現・ダイナック)を経て、1984年長谷川実業(現・グローバルダイニング)入社。1988年同社取締役に就任。2005年9月27日HUGEを設立。2006年4月ファインダイニングレストラン「DAZZLE」を銀座に出店。同月にスパニッシュイタリアンのカジュアルレストラン「café RIGOLETTO」を吉祥寺に出店し、500円均一のタパスや、2500円均一ワインなど、外食業界ではスタンダードとなりつつある「均一価格メニュー」を定番化させる。
現在、スパニッシュイタリアンやモダンメキシカンなど、日本国内に23店舗を運営する。

新川 義弘 氏

第1部:講義「Design=Hospitality」

講義1

本日のプレックスプログラムは、大人気店「リゴレット」「DAZZLE」「アシエンダ デル シエロ」等を経営する株式会社HUGE代表取締役社長兼CEOの新川義弘さんを迎え行われました。広く認知された人気店がいかにして実現されたのか、飲食店の空間演出はどのように行われているのかなど、注目すべき点が多い今回のプログラム。実際に店舗に訪れたことのある受講生も中にはおり、参加した受講生のプログラムに対する期待値はとても高い様子が伺えます。「お店をつくるということは直観力やひらめきが必要になります。今回『デザイン』という言葉の幅を少し広げて、飲食の世界に巻き込みたいという思いで話します。」冒頭から力強い語り口で受講生を引き込む新川さん。早速講義が始まります。

講義2

新川さんが飲食の世界へ入ったきっかけは、ご自身が子どもの頃にまで遡ります。ご実家が食堂を営んでおり、お手伝いなどをされていたそうです。休みなく働き、お客さまの名前や顔をすぐに覚える母親の姿を、幼い頃から新川さんはそばで見ていました。「子どものころの幼児体験は、自分の一生を左右する」、新川さんはこの母親の姿を見た体験が、自身の飲食経営に反映されていると話します。時は過ぎ、社会人となった新川さんは外食産業の世界へ。ある時、新川さんがよく足を運んだバーで食事をした時のことでした。食事や飲み物を運ぶスタッフに、お客様が「同じものをください」と声をかけると、スタッフが「なんだっけそれ?」と返す姿を新川さんは目の当たりにしました。「俺だったら変えることができる」そう強く思った新川さんは、転職を決めます。

講義3

新たな職場での下積み時代、上司や幹部、さまざまな人間模様を目にしました。「自分が一番下だったから、みんな僕の前では何喋っても気にしない。全部筒抜けなんですよ。自分勝手な人もいたりして、働く中でチームを作るなら、相手がどう思うかが大事なんだと感じました。」「何かを起こすには共感できる仲間がいるかどうかなんです。」店舗運営には、周囲との関係が大事であると、新川さんは話します。次に、飲食のサービスを支える3つの要素についてお話されました。その3つとは「運営力」「顧客認知力」「事前予知能力」。この中でも「運営力」は基礎体力に当たるものだと新川さんは続けます。「基礎体力でまず、お店を回すことが第一。それも『100点か0点』ではなく、常に60点をキープし、お客さんがまずお店を認めないと、他の2つの要素は発揮させないようにする、このことを強く念頭においています。」人気店のサービスの極意が垣間見えます。

講義4

どのようにして店舗を作っているのか、実際のフローの説明に移ります。立地の選定、視察、そのあとでデザインに落とし込んでいく流れを、実例を交えてお話しくださいました。また、今回の講義で実際の平面図を見せながら、それぞれの店舗のコンセプトや空間演出についてお話しくださいました。「一つでも座りたくない席があったら、俺は嫌だから」と座席配置や動線を戦略的に計算した結果が、今の人気店の姿となっています。また、現在の飲食業界で画一化されてしまった接客用語についても疑問を呈します。「そういう面倒で不自然なコミュニケーションはいらない。アシエンダ デル シエロだったら、お客さんがきたら『Hola!』で十分!」「お店に来てくれたらまずは『こんにちは』、一度以前にお見かけしていたら『今日はどんな感じで』、自然なやりとりでやればいいのに」新川さんの、人とのコミュニケーションに対する思い、お店つくりがとにかく楽しいという熱い思いやパワー溢れる講義となりました。

第2部:ワークショップ「街に求められるオオバコの価値の提案」

ワークショップ1

プログラム後半のワークショップは、事前にあたえられた課題をもとに、グループに分かれてディスカッションしてもらいます。課題のテーマは、「街に求められるオオバコの価値の提案」です。ここでいうオオバコとは、商店や飲食店、劇場などで広い売り場面積をもつ店のことを指します。収容人数が多い店を建てるということは、その建設される街や地域に大きな影響を与えます。「街からは『この土地に来てくれてありがとう。』私達は『この土地でやらせていただいてありがとう。』と、お互いが思えるオオバコのレストランの価値創造をあなたなりの手段で提案してください!」というメッセージを元に、受講生は様々なアイディアをまとめてきています。いったいどんな企画が飛び出してくるのでしょうか。

ワークショップ2

グループでディスカッションした後は、グループ内で一番企画がよかった受講生に、それぞれ前に出てきてもらい全体に向けプレゼンテーションをしてもらいます。まず一人目のプレゼンテーターがはじめに提案したのは、分野を超えた発見、体験ができるような場所として、本屋とレストランを融合させるというアイディアを発表しました。本の中に登場する料理を実際にレストランで食べることができるというもので、本が好きな人、食事をすることが好きな人、様々な分野の人たちが楽しさを発見、共有できる場所として提案しました。発表を聞いた新川さんから、アイディアが面白いとお褒めの言葉をいただきました。加えて、今後のアップデートの難しさ、実際にレストランはこういう人たちに頼んだほうがいい、など具体的なアドバイスも下さいました。

ワークショップ3

次に発表したプレゼンテーターは、育児を行うママさんのためのコミュニティの場所としてのオオバコを提案しました。託児所やレストランを複合した施設に、スタッフは皆育児経験のあるママたちなど、具体性を持った数々のアイディアは、「いや〜面白いね!」と新川さんも唸る内容でした。社会性のある、なおかつ永続的なテーマをもった提案として評価をいただきました。受講生の発表に対して、新川さんは発表の中にある当の受講生が気が付かなかったメリットを引き出してコメントしてくださいます。新川さんのおおらかでダイナミックな人柄は、プレゼンテーターや聞いている受講生をどんどん惹きつける魅力があるのでしょう。会場内は大変な盛り上がりを見せていました。

総評

すべてのプレゼンテーターの発表が終わり、最後に新川さんから総評をいただきました。「今日この時間をみなさんと共有することができてよかったです。一番大事なことは、人間出会いがあってこそということ。それは偶然のようだけど、必然的なことだと僕は思います。その出会いの中で、この人だ、と思った人と信頼関係をつくれると、お店は出来上がっていきます。僕自身も、これまで僕が言ったことやアイディアを実際にクルーがまとめてくれていて、お店の実現はそういった信頼関係の元になりたっています。今日、みなさんが発表したものがいずれ具現化できて、資金が確保されて、実現したら絶対見に行きます。今日はとても楽しい時間でした。ありがとうございます。」新川さんの笑顔とパワーは、受講生たちに大いに刺激となりました。本当にありがとうございました!

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