プレックスプログラム レポート

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「意識の壁を乗り越える~未来を創るデザイン~

2016年9月8日(木)

テコデザイン代表 デザイナー

柴田 映司 氏

Eiji Shibata

<PROFILE>

テコデザイン有限会社代表。
セールスエンジニアとして自動車、家電製品等の設計に携わった後、(株)テコに入社し、プロダクトデザイン、インテリアデザイン、ディスプレイ等の設計に携わる。
2004年、TEKO Design設立。2007年Tokyo Desigers WeekDesign Premio授賞。
2008年、100% Design London招待出展。
2009年、OneGood Chairコンペティション(ラスベガス)ファイナリスト。書籍「VW Designs」

柴田 映司 氏

第1部:講義「意識の壁を乗り越える 未来を創るデザイン」

講義1

プレックスプログラム初登壇!今回はテコデザイン代表の柴田映司氏にお越しいただきました。柴田さんは当校で空間デザインの授業にて教壇に立たれています。柴田さんの授業を受けた人、先生の授業が初めての人にかかわらず、空間デザイナーを志す受講生たちが多く出席していました。講義が始まり、「まずは映像から見てください」とオープニングに映像を流します。映像で流れたのは、様々な店舗の内装やプロダクトたち。作品やお仕事をダイジェストでまとめて紹介されていました。作品の中にはCADソフトである「Vectorworks」を使って作成されているものも多く紹介されていました。当校で学ぶ受講生も、現在授業で使用しているソフトです。

講義2

また、映像が終わると柴田さんからご自身の経歴についてお話しくださいました。「私もみなさんと同じで、デザインとは全然関係ない4年制大学を卒業し、そのあとはサラリーマンでした。」その後どのようにしてデザインの世界で活躍されるようになったのか、柴田さんは続けます。「サラリーマン時代に営業先で工場を回っていた時、働く現場の人たちと仲良くなりました。みんなすごく一生懸命いいものを作ろうとしていて、それを間近でみて自分も作り手になりたいと思ったんですね。」それから仕事を辞め、内装設計の会社で職人として働き始めました。仕事以外の時間でもデザイン関係の本で勉強したり、講演会へ足を運んだりしてきた柴田さん。お話しの中からも、努力を重ねてきたことを伺えます。

講義3

今回のプログラムの本題は「意識の壁を乗り越える 未来を創るデザイン」。柴田さんが取り組むハンドバイクプロジェクトについて取り上げながら話を進めていきます。ハンドバイクとはどのようなものなのか?基本的には手で漕ぐ自転車ですが、なぜ手で漕ぐ自転車は生まれたのか、歴史的な経緯から丁寧に解説していただきました。初めてハンドバイクが生まれたのは1970年代のアメリカ、ベトナム戦争の負傷にて足を切断された人たちをどうケアしていくかという問題定義から生まれたものでした。スポーツが盛んなアメリカでは、ハンドバイクレースも行われていますが、日本ではまだまだ普及しておらず、レーサーは10人もいないと柴田さんは話します。

講義4

そんなハンドバイクのデザインに携わるきっかけとなったのは、自転車事故で車いす生活を余儀なくされた知人の方からの言葉でした。「海外にあるハンドバイクのような、ちゃんとした乗り物を日本でも使えるようにしてほしい。」この時まで柴田さん自身も、ハンドバイクの存在は知らなかったそうです。車椅子のようにやむをえなく乗るのではなく、単純に「乗りたい!」と思わせる、このことがまさに意識の壁を超えることだと柴田さんは続けます。このプロジェクトは、職人さん、車椅子シートの製造会社、恩師の方、様々な人が関わっています。「自分一人だけではなく、このような関係があって初めてデザインというものは成り立つんです。」ハンドバイクというプロダクトには、様々な人の想い、デザインが集まってできていることを柴田さんは熱く話されていました。

第2部:ワークショップ「ハンドバイクの未来を考える」

ワークショップ1

プログラム後半に行われたワークショップでは、ハンドバイクの認知度を広げるための新しい方法やサービスをみなさんに考えてもらいます。今回の講義を聞いた受講生からは「実際に乗ってみたい!」「ハンドバイクかっこいい!」という声があがっており、ハンドバイクへの関心が高まっています。ハンドバイクの良さはわかっていても、実際に使う人はまだまだ少ないのが現状。実際にこのハンドバイクの認知度を上げるための方法はなんだろう?新鮮な気持ちでハンドバイクを捉えている受講生たちからは、いったいどんなアイディアが出てくるのでしょうか?

ワークショップ2

グループごとに分かれ45分間で話し合い、考えをまとめたらプレゼン開始です。まず、最初に発表したチームは、障がい者の雇用促進を切り口にサービスを考えました。1つはバイク便、ならぬハンドバイク便。ハンドバイクを使った配達サービスです。配達は障がいを持った人が行い、障害者雇用を確保することが狙いです。街中でハンドバイク便が走ることで、認知度を上げるという効果も考えました。その他にも、短距離タクシーのサービス、広告宣伝車としてのハンドバイクの使用、さらに屋台としてハンドバイクを使う業態など、ハンドバイクの用途を広げるアイディアが発表されました。

ワークショップ3

さらに別のチームからは、ハンドバイクに乗るヒーローを主人公とした子供向けの新番組の提案がありました。トップエフワンレーサーだった主人公が、不慮の事故で足が不自由となってしまうという設定。ある日不思議な力と特殊なハンドバイクを手に入れ、ヒーローとなり敵を倒していく!というストーリーに柴田先生も思わず笑ってしまいます。子供や主婦層を取り込む作戦です。他にも、上半身を鍛える新しいエクササイズとして、フィットネスクラブにハンドバイクを導入するというものもありました。外を見ながらランニングのように、上半身を鍛えられるという点に着目したものでした。柴田さんからも、「実際ハンドバイクは全身運動になるし、実際に乗っている女性からも『二の腕にいいのよ!』との声が上がっているんですよ。もうちょっとその点をPRできそうですね。」とコメントいただきました。

総評

各グループの発表を聞きながら、柴田さんは発表に対して一つ一つ丁寧にコメントしてくださいました。最後に柴田さんより総括です。「ハンドバイクにあって自転車にないものは何かに着目していくことが大事です。また、実際にアイディアが生まれたとしても法律という壁があるので、実現できない場合があります。また、認知という面でも、テレビなどに出た瞬間は「おっ!」となっても、時間が経つとすぐ人の記憶からなくなってしまう。世の中に知られる、ということは本当に大変なんですね。ですが、今回みなさんにこれだけいいアイディアを聞かせてもらったのですごく気持ちが盛り上がっています。君たちが背中を押してくれたようです。みなさんに感謝します。」今後のご活躍から目が離せない柴田さん、本日は本当にありがとうございました!

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